最新記事

感染症

米大陸で猛威を振るい始めた「ジカ熱」について知っておくべき12の事実

ワクチンがない感染症がアメリカ大陸で1カ月間に2倍以上の患者を

2016年1月27日(水)20時35分

すぐそこにある危機  1月26日、汎米保健機構(PAHO)は、蚊が媒介する「ジカ熱」感染が確認されたアメリカ大陸の国・地域が22に増加したと発表した。写真は殺虫剤をまく作業員。ブラジルのレシフェで撮影(2016年 ロイター/Ueslei Marcelino)

 汎米保健機構(PAHO)は26日、蚊が媒介する「ジカ熱」感染が確認されたアメリカ大陸の国・地域が22に増加したと発表した。1カ月前と比べて、2倍以上に増えているという。

 中南米とカリブ諸国で猛威を振るっているジカ熱感染は、カナダとチリを除くアメリカ大陸全域に拡大する可能性があると、世界保健機関(WHO)は警鐘を鳴らしている。

 ジカウイルスは、ウガンダのビクトリア湖近くにあるジカの森に生息するサルから1947年に初めて発見された。これまでアフリカや東南アジア、太平洋諸島の一部で流行が確認されていたが、アメリカ大陸では2014年まで知られていなかった。

 ジカ熱の症状は比較的軽いが、WHOの米地域事務局であるPAHOは、ブラジルで先天的に頭部が小さい「小頭症」の新生児が増加していることと関連している可能性を指摘している。

 ジカ熱に関して知っておくべき事実を以下に挙げる。

・ジカウイルスは、デング熱やチクングンヤ熱、黄熱病と同じくネッタイシマカによって媒介され、ヒトに感染する。ジカ熱のワクチンはまだない。

・ジカ熱の症状は通常、発疹や発熱、筋肉・関節の痛みなどで比較的軽く、1週間程度で治まる。ジカ熱に感染しても入院治療が必要になることはまれだ

・PAHOによると、アメリカ大陸でジカ熱感染による死亡例は今のところ確認されていない。しかしすでに疾患を持つ人が、死に至るような深刻な合併症を伴うケースはいくつか報告されているという

・ブラジルの研究者やWHOは、ジカ熱と、先天的に頭部が小さい新生児が生まれる「小頭症」の関連性が高まっているとしている。だがPAHOによれば、感染した母親から妊娠中もしくは出産時に、ジカウィルスが子に移る可能性についての情報は「非常に限られている」という

・ブラジル北東部では、小頭症の新生児が著しく増加しており、同国の保健省によると、小頭症が疑われる新生児の数は16日までの10日間で約360人増え、計3893人に上るとしている

・ジカ熱の感染率が最も高いのがブラジルで、次がコロンビア。そのほか、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、メキシコ、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、スリナム、ベネズエラでも流行が報告されている

・コロンビアの保健省は、同国ではすでに1万3500人がジカ熱に感染しており、感染者数は今年70万人にも上る恐れがあるとしている

・コロンビアのサントス大統領によれば、同国では小頭症の赤ちゃんが500人生まれる見通しだという

・コロンビアの保健省は、ジカ熱によるリスクを回避するため、女性は妊娠するのを6─8カ月遅らせるよう勧告している

・ジャマイカでは感染はまだ確認されていないが、同国の保健省は女性に対し、向こう半年から1年は妊娠しないよう勧めている。エルサルバドルの場合は、2018年まで妊娠を避けるようアドバイスしている

・今月に入り、米疾病対策センター(CDC)は妊婦に対し、感染が確認されている中南米やカリブ海諸島の14カ国・地域への渡航を避けるよう警告している

・ジカ熱は感染者4人に1人の割合で発症し、多くの場合は発見されないため、アメリカ大陸での感染規模を正確にはかり知ることは難しい。PAHOは同地域の感染数を知るうえで、信頼できる統計はないとしている。感染が確認された国からの報告に基づき、少なくとも6万人が感染の疑いがあるとみられるが、実際の数ははるかに多いと考えられている。

  

[ボゴタ 26日 トムソン・ロイター財団]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国、米関税で企業に緊急支援措置策定 米と交渉へ

ビジネス

総務省、フジHDに行政指導 コンプラ強化策の報告要

ビジネス

ECB高官、トランプ関税は世界経済の安定脅かすと警

ビジネス

英サービスPMI、3月52.5に下方改定 米関税や
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 10
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中