銃乱射犯に負け犬の若い男が多い理由
英国の臨床心理学者ポール・ギルバートは、「Social Attention-Holding Theory(社会的注目保持力)」という概念を考案した。彼によれば、私たちは、他人の注目を集めるために互いに競い合うのだという。注目が得られれば高い地位を築くことができるからだ。他人から注目を浴びて地位が上昇すると、ありとあらゆる肯定的な感情が生まれる。一方、他の人から無視される続けると、悪意に満ちた感情、とりわけ妬みと怒りが生まれる。
メディアが、銃乱射事件の犯人やテロリストを、はみ出し者や孤立した人間として描き出すのは不思議なことではない。彼らは往々にして、実際にそういう人たちなのだ。
ISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)に10か月間にわたって拘束されたフランス人ジャーナリストのニコラス・ヘナンは、自分を拘束した殺意にあふれる若きジハード戦士を次のように表現している。「彼らは自らをスーパーヒーローだとみなしている。けれども実態は、イデオロギーと権力に酔いしれた、家を持たない若者に過ぎない。フランスには『愚者と悪人』という言い方があるが、彼らは、悪人というよりは愚かなだけの存在だった――殺人につながりうる愚かさというものを軽んじているわけではないのだが」
どうやら、他の人から十分に注目されないと地位が劣っていることになり、女性とつきあう機会も減るらしい。そこに若い男性のテストステロンが加わると、他に害を及ぼすような「キレやすい」人間が誕生する。
何百万年もかけて進化してきた「若い男性の精神構造」を変えるのは難しいかもしれない。しかし、そうした精神構造の存在を無視したり否定するのもまた不毛だ。
Frank T. McAndrew, Cornelia H Dudley Professor of Psychology, Knox College
This article was originally published on The Conversation. Read the original article.