最新記事

中東

イラン、サウジ軍が在イエメン大使館攻撃と非難 輸入を全面禁止

周辺各国を巻き込んだサウジ=イランの対立は、さらに悪化の一途

2016年1月8日(金)09時57分

1月7日、イランは、サウジ軍の戦闘機が、イエメンのイラン大使館を攻撃したと非難した。写真はイラン国旗、国連で2015年3月撮影(2016年 ロイター/Heinz-Peter Bader)

 イランは7日、サウジアラビア軍の戦闘機がイエメンの首都サヌアのイラン大使館を攻撃したと発表した。また、サウジからの輸入を禁止すると宣言し、両国間の緊張が一段と高まっている。

 国営イラン通信(IRNA)によると、イラン外務省報道官は「サウジアラビアは、(イエメンのイラン大使館の)建物を損壊させ、大使館員を負傷させた」と述べた。

 イラン学生通信(ISNA)は、大使館への攻撃についてイランが正式な報告書を7日に国連に提出するというアブドラヒアン外務次官の発言を伝えた。

 ただ、サヌアの住民らは、ハッダ地区の大使館の建物に損傷はなく、空爆されたのは大使館から約700メートル離れた場所で、破片などが大使館の敷地内に落ちたと述べた。

 サウジ主導の連合軍は、イランが支援しているとされるイスラム教シーア派武装組織「フーシ」と2015年3月から戦闘を続けている。

 連合軍の報道官は、サヌアで6日にフーシのミサイル発射装置を空爆したと発表。報道官はイランの発表内容を調査すると述べ、また現在は使われていない大使館の建物を含む施設をフーシが使用していると述べた。

 イランは7日の閣議で、サウジからの輸入の全面禁止を決定した。サウジは4日にイランとの通商関係断絶と航空便の運航停止を発表した。

 スンニ派のサウジ王室と国民の大半をシーア派が占めるイランの関係は、サウジが王室に批判的だったシーア派指導者ニムル師を処刑して以来、急速に悪化。イランでサウジ大使館が襲撃されたことを受け、サウジ、バーレーン、スーダン、ジブチ、ソマリアがイランとの外交関係を断絶、アラブ首長国連邦(UAE)は外交関係を格下げした。クウェートやカタールなどは駐イラン大使を召還した。

 

[ドバイ 7日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに

ワールド

米共和党の州知事、州投資機関に中国資産の早期売却命

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 サハリン

ビジネス

ECB総裁、欧州経済統合「緊急性高まる」 早期行動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 10
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中