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米中関係

米爆撃機が中国の人工島上空を飛んだことの意味

2015年12月28日(月)15時45分
小原凡司(東京財団研究員)

 意図的であるにしろ、ないにしろ、B-52の飛行は、米国は軍事力を使用しないだろうという中国の期待を、駆逐艦の航行に続き、再度、裏切るものになった。どういう理由であれ、米軍の戦略爆撃機が、中国が主張する領空を侵犯したのだ。中国は、今回のB-52の飛行が、単なる誤りであったとは考えないだろう。

 中国は、南シナ海でもサイバー空間でも、米国の出方を慎重に見ながら活動しなければならない。中国は、米軍の行動に対処できないという批判と、米国との軍事衝突の双方を避ける、という綱渡りを続ける。米国の対応も一貫しない。米国が中国に圧力をかけ、中国が譲歩するという構造自体は新しくないが、その様相は変化している。

 米国及び中国とも、国内の異なる意見が調整できない状況の下、米中間の落としどころが見つかる見通しは立っていない。米中間の緊張は解消できず、予期せぬ軍事衝突の可能性はゼロにはならないのである。

[執筆者]
小原凡司
1963年生まれ。85年防衛大学校卒業、98年筑波大学大学院修士課程修了。駐中国防衛駐在官(海軍武官)、防衛省海上幕僚監部情報班長、海上自衛隊第21航空隊司令などを歴任。東京財団研究員

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