最新記事
ASEAN日本・インドネシア、南シナ海の安定で一致も、中国めぐり温度差
ASEAN加盟国と初の外務・防衛閣僚会合で対中包囲網を狙った日本の目論見はずれる
12月17日、日本とインドネシアは初の外務・防衛閣僚会合を開き、南シナ海の安定で協力することで一致したが、中国をめぐっては温度差も見られた。昨年11月北京で行われたAPEC会合で、写真撮影に臨むインドネシアのジョコ大統領(前列左端)、安倍首相、中国の習近平国家主席(中央)ら各国首脳(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
日本とインドネシア両政府は17日、初の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を開いた。日本は対中国で東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携強化を目指しており、今回も南シナ海の安定に向けて協力することで一致した。
一方で、中国と領有権争いのないインドネシアとの間には、温度差も垣間見えた。
日本がASEAN加盟国と2プラス2を開くのは初めて。日本側は、南シナ海の人工島20カイリ内に艦船を派遣した米国の「航行の自由作戦」への指示を表明したほか、ASEANが一つになって声を挙げることの重要性を強調した。
インドネシア側も、南シナ海で領有権を争う国々に国際法の順守を呼びかけたり、一方的な現状変更をしないよう求めていくなどと応じた。しかし、会談後の記者会見では「以前より中国の姿勢は強硬なものではなくなった」(リャミザルド国防相)など、中国を刺激することを避けるような発言もあった。
会合では、日本からの防衛装備輸出に必要な協定の締結に向けて協議を始めることで合意した。インドネシア側からは、水上で離発着できる海上自衛隊の救難飛行艇「US2」への関心が示された。単に日本から輸入するのではなく、技術移転を求めている。
(久保信博)