ISISへ経済封鎖、米国が投入する「新兵器」
だが専門家は、オーストリアほどの面積を支配しているイスラム国は、さまざまな財源を手中に収めているため、驚くほど資金に恵まれていると警告する。戦略国際問題研究所のテロ専門家トーマス・サンダーソン氏によれば、イスラム国は、石油密売、物資強奪、古代遺物の密売を資金源とする「持続力のある強靱な財務ポートフォリオ」とでも言うべきものを築き上げているという。
「ラバの背中に資金を積んで運ぶことだってありうる」と同氏は語り、「略奪と混乱の時代には、国境を越えて何かを移動させることなど簡単だ」とも指摘する。
今のところは、ある程度の成功を収めているものの、イスラム国への資金流入を断つには、トルコからロシアに至るさまざまな国との協力をもっと深める必要がある、というのが専門家の見方だ。イスラム国は、支配下の石油関連施設に対するこれまでの米国の攻撃から立ち直る力を見せている。
テロ対策専門家によれば、米国は湾岸地域の富裕層からの支援に強く依存していたアルカイダの資金源を断つことに成功したが、イスラム国はそこから教訓を得ているようだという。
「ISは、あまり多くの外部資金源に頼りすぎるのは良くないということを学んでいる」とサンダーソン氏。「外部の寄付者は気まぐれで、圧力に負けやすい。(ISは資金源を)自分でコントロールしたいと思っている」と同氏は語る。
(Yeganeh Torbati記者、Brett Wolf記者)
(翻訳:エァクレーレン)