最新記事

台湾

中台トップ会談の結果――台湾国民は大陸を選ぶのか日米を選ぶのか?

2015年11月9日(月)16時15分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 意見は両極に分かれているという。

 最も激しく抗議しているのは2014年3月に中台間のサービス貿易協定に反対して立法府を選挙し、阻止に貢献した「ひまわり運動」に参加した若者たちだ。

 台湾の若者や庶民の国民党離れ、特に馬英九離れを決定づけた出来事で、ここから一気に民進党が勢いをつけてきた。

 筆者が取材した教え子たち自身は(中にはすでに大学の教員になっている者もいるが)、ほぼ全員が「馬習会談(馬英九・習近平会談の台湾における呼び方)」に反対している。銭(経済)のために魂を売った売国的行為だとして非難している。

 しかし「ひまわり運動」の代表的存在だった陳為廷は、馬英九氏が乗り降りする台湾の松山飛行場で抗議活動を行なっているところを当局により拘束され、姿を消してしまった。

 まるで戒厳令時代に戻ったみたいだ、台湾の民主はどこに行ったのか、言論の自由も大陸同様に封鎖されていくのかと、多くの若者や庶民がネットで抗議の情報を交換し合ったが、会談が中継されている最中に、台湾Yahoo(Yahoo奇摩)がネット・アンケートを実施した。

 7日午後4時から7時までの時点で、「今回の馬習会談をどう思いますか?」という問いに5233人のネットユーザーが回答し、「49%が非常に満足、22%が非常に不満足、19%がまあいいのではないか、6%があまり満足ではない、4%が分からない」だった。

 つまり「68%が肯定的」だったことになる。

 7日午後6時から7時まで、「馬習会談が終わった後の馬英九の態度(主張)をどう思うか?」という質問が台湾Yahoo空間でなされたが、それに対して2518人のネットユーザーが回答し、結果は「50%が非常に満足、23%が非常に不満足、18%がまあいいのではないか、6%があんまり満足ではない、3%が分からない」だった。

 これも合計すれば、「68%が肯定的」となっている。

 もちろん激しい抗議デモが起きてはおり、ひまわり運動の若者たちの抗議集会も見られたが、この「68%」という数値は痛い。

日本と無関係ではない

 それでも、取材した人たちは「台湾国民の心は変わらない」と、まるで自分に言い聞かせるように、自由と自尊心を重んじる民進党へのエールを訴えてはいる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港が金融犯罪の重要拠点に、米超党派議員が関係再検

ワールド

レバノン停戦合意、米仏が36時間内に発表か イスラ

ワールド

ロシアのサイバー攻撃、対ウクライナ支援を脅かさず=

ビジネス

ダウ・S&P日中最高値更新、トランプ氏の財務長官指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 3
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 4
    テイラー・スウィフトの脚は、なぜあんなに光ってい…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 7
    日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心...エヌビ…
  • 8
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 9
    またトランプへの過小評価...アメリカ世論調査の解け…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中