シリア当局者語る、「パルミラはロシアの空爆を歓迎する」
アブドルカリムは先週末にも、パルミラの凱旋門が爆破されたと訴えていた。「まるで呪われた都市だ。パルミラからは、もう衝撃的なニュースしか出てこない。奴らの手にあるかぎり、もうおしまいだ」と、彼はロイターに語った。「これは単に無差別の破壊行為だ。イデオロギーすら関係ない。彼らは宗教とは無関係の遺跡も爆破している」
古代の美 8月の破壊行為に続き、この凱旋門も最近爆破されたとみられる(2000年撮影) Sandra Auger- REUTERS
8月にはユネスコのイリナ・ボコバ事務局長も、テロ組織ISISによる古都パルミラの破壊は「戦争犯罪だ」と述べていた。そこへ訪れたのが、ロシア軍によるパルミラ空爆のニュースだったわけだ。
アブドルカリムは本誌の電話取材に対し「ロシアが遺跡でなくISISを攻撃するのであれば、朗報だと思う」と話した。「毎週のように新たな破壊が起こっているし、パルミラには多くの古代遺跡がある。一刻の猶予もない」
しかし、ロシア国防省の報道官はパルミラ空爆を否定した。ロシアの国営タス通信によれば、6日の声明文で「ロシアの戦闘機が古都パルミラで空爆を行っているという外国メディアの報道は、すべて事実無根だ」と言明。「わが軍のシリアでの作戦は、人口密集地や古代遺跡の上空では行っていない」と述べている。
パルミラを守るアブドルカリムにとって胸の張り裂けそうな日々はまだ続きそうだ。