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大学進学率の男女差が物語る日本の「ジェンダー意識」

2015年10月6日(火)17時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

 これは国際比較をするとよく分かる。<表2>は、社会的価値観に関する国際的な調査から「大学教育は、女子よりも男子にとって重要だ」という項目の肯定率を国別に抽出して、高い順に並べたランキング表だ(英仏は調査に回答せず)。

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 その肯定率が最も高いのは、カースト社会のインドだ。20歳以上の国民の6割が「大学教育は、女子よりも男子にとって重要だ」と考えている。バーレーンやパキスタンなど、イスラム社会の肯定率は総じて高い。女性はあまり外に出るべきでない、という宗教的戒律があるためだろう。

 日本の肯定率は22.6%で真ん中より少し下だが、欧米諸国と比べると格段に高い。ドイツは13.6%、アメリカは6.6%、スウェーデンにいたってはわずか2.5%だ。こうしたジェンダー意識の低い国々では大学生の男女比は半々だが、日本では男女比が「6対4」とまだまだ偏っている。東京大学の女子学生比率は18.6%しかない(2015年5月時点)。

「人材」しか資源のない日本にとって、この現状は見過ごせない。男女を問わず能力を開花させ、社会・経済を活性化させるための意識改革、制度づくりは急務の課題だ。

<資料:文科省『学校基本調査』『世界価値観調査』(2010~2014)

[筆者の舞田敏彦氏は武蔵野大学講師(教育学)。公式ブログは「データえっせい」、近著に『教育の使命と実態 データから見た教育社会学試論』(武蔵野大学出版会)。]

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