ウイグル人なら射殺も辞さない中国に噛み付くトルコ
シルクロードで民族改造
直近でいうと7月半ばに中国東北部の瀋陽で地元の警察の部隊がウイグル人3人を射殺。6月には東トルキスタン西部のカシュガルで15人、3月にも7人を射殺と、たった5カ月で少なくとも25人ものウイグル人が命を奪われている。
香港の中国人権民主化運動情報センターによると、2月中旬からの1カ月だけでも46人が射殺されたという。こうした間にも暴動は中国各地で起きているが、ほかの地域で漢民族が警察によって射殺されたとの報道はない。このような天と地ほどの差について、中国政府は合理的な説明を国際社会にしていない。
経済的に豊かになれば、民族問題も宗教問題もすべては簡単に解決できる、と中国人は理解している。「西部大開発」や「一帯一路構想」を政府主導で推進することで、「貧しいウイグル人を裕福な中華民族の一員に改造できる」と盲信する。
漢民族のようには政府に柔順にならないウイグル人を素直な「奴隷」に仕立て上げるには、人口の逆転が最も効果的と認識している。そのため、内地に住む漢民族の新疆への移住を奨励する政策も矢継ぎ早に打ち出される。
例えば、内地では農村戸籍の者でも新疆に移民すれば、都市戸籍を与えるという。中国では都市戸籍と農村戸籍とでは、福祉の待遇面に大きな格差がある。ウイグル人固有の領土で都市住民になろうという野望を持つ漢民族が陸続と入植してきて、先住民の手からあらゆる権利を剥奪している。
悲しいことに、日本や欧米の中国シンパたちは中国の高圧的な民族政策を黙認している。その点、トルコは異なる。「われわれはいかなる場合でもウイグル人と連帯する。同胞たちが弾圧されている事実に接し、トルコ国民は悲しんでいる」とトルコのチャブシオール外相は表明した。
民族問題は決して中国の国内問題ではなく、歴然とした国際問題だ。
[2015年9月 1日号掲載]