最新記事

中国

中国犬肉祭りは文化どころか金儲け

2日で1万匹の犬を殺して食べる祭りの醜悪さ

2015年6月24日(水)14時11分
アイリッシュ・オガラ

観光イベント 広西チワン族自治区玉林市の犬肉祭りで客を待つ犬肉業者(6月21日) Kim Kyung-Hoon-REUTERS

 2日間で計1万匹もの犬が、殺され、調理され、食された----。世界中のメディアや動物愛護団体、セレブなどから中止を要望する声が上がっていた22日の「犬肉祭り」のことだ。中国の広西チワン族自治区玉林市で、夏至に合わせて毎年開かれている。

 動物愛護団体ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナルによれば、中国南部では毎年、1万匹近い飼い犬や野良犬が何日もかけてこの地に運ばれ、犬肉祭りの闇市場で取引される。同団体のEU(欧州連合)コミュニケーションズ・ディレクター、ウェンディ・ヒギンズは今年、監視のため犬肉祭りに参加した。

 セレブが反対運動に加わり、中国でも犬をペットとして所有する人が増えるなか、今年は批判が多く寄せられていた。ヒギンズは「犬肉祭りの終わりの始まり」が到来したと信じている。

多数の犬が集められるようになったのは2010年から

 犬肉祭りでは、何匹ものが狭い金属製の檻に詰め込まれる。死の間際に恐怖と痛みがあればあるほど肉が美味しくなると信じられているため、犬たちは鈍器で殴り殺されるのだとヒギンズは言う。生きたまま煮られる犬もいる。

 犬肉祭りの伝統を支持する人々は、犬肉食には、中国や韓国などアジア各地で400年以上の歴史があるという。

だが動物愛護団体の主張によれば、犬肉は中国の農村部では細々と食されてきたものの、祭りのために多数の犬が集められるようになったのは2010年からのこと。観光イベントにして儲けようと、犬肉業者たちが考案した祭りだという。

今年は犬肉祭りに先だって、国内外のセレブが「祭りを禁止せよ」と声を上げた。社会変革のための署名サイト「チェンジ・ドット・オルグ」でも、犬肉祭りに反対する請願に400万人近い署名が集まった。

 中国だけで毎年、推定1000万匹の犬が殺されている。犬肉産業は他にも、インドネシアや韓国、フィリピン、ベトナムにまたがって存在している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中