原油暴落でイスラム原理主義のヒズボラが破産?
最悪だったタイミング
しかも今回の資金難は、ヒズボラにとって最悪のタイミングだ。ヒズボラのある幹部がイスラエルの情報機関モサドのスパイだったことが発覚した上、シリア内戦では戦闘員1000人近くを失ったという。イスラム教スンニ派テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)やシリア反政府軍との戦いでヒズボラの果たす役割が大きくなるほど、人材と資金がさらに費やされる恐れがある。
いずれにせよ、現在の「石油ショック」はヒズボラにとって最悪の経験だと、ワシントン中近東政策研究所のテロ対策専門家マシュー・レビットは言う。
原油価格低迷の長期化が予想されるなか、資金難は極限まで進む可能性がある。今の段階では軍事予算に悪影響はないはずだが、シリアの前線で戦う戦闘員の不満は高まるかもしれない。
資金難は社会サービスの段階的縮小にもつながり、政治的な支持者への支払いも滞る可能性がある。ヒズボラと手を組むイスラム教ドルーズ派のある政治家に流される資金は、月6万ドルから2万ドルに減った。
「ヒズボラは相当に憂慮していると思う」と、レビットは言う。「要求を満たしてくれる組織として、現地の期待を膨らませてきたのだから」。そう、国境沿いの丘に豪華な別荘が立ち並んだときのように。
[2015年1月27日号掲載]