ヨーロッパを苦しめる日本型デフレの悪夢
ドイツは楽観的見方だが
クルーグマンらはユーロ危機後に導入された緊縮財政政策を批判し、ECBの政策金利引き下げや資産購入の開始を評価する。さらに、デフレ危機を克服するにはアメリカや日本のような量的緩和(QE)政策に踏み切り、大量の資金を市場に供給する必要があるという。
バルスのような中道左派は、減税と政府支出に対するEUの規制緩和を求めている。競争力回復の起爆剤となる景気刺激策を政府が実行しやすくするためだ。フランスは先週、財政赤字をGDPの3%以内に抑えるというEUの基準達成を先送りすると示唆した。
こうした動きに神経をとがらせているのがドイツだ。中央銀行のドイツ連銀はECBの限定的な景気刺激策にも反対している。ドイツ政府は緊縮政策の後退を懸念している。
ドイツでは、最近のインフレ率低下はウクライナ情勢などによる一時的現象にすぎないとの見方が有力だ。「ユーロ圏の物価が数カ月間下がったとしても、本格的なデフレリスクが存在するとは思わない」と、ベレンバーグ銀行のシアニエコノミスト、ロバート・ウッドは言う。
しかし、米財務省当局者は先週、ドイツをはじめとするEU諸国に対し、11月の20カ国・地域(G20)首脳会議までに大胆な景気刺激策を打ち出し、デフレリスクを排除するよう求めた。ドイツほど楽観的にはなれないようだ。
From GlobalPost.com特約
[2014年9月30日号掲載]