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国際情勢

イラクとシリアはウクライナとガザより深刻だ

2014年7月24日(木)18時39分
ジョシュア・キーティング

 ガザの状況は悲惨きわまりないとはいえ、遅かれ早かれ停戦合意がまとまり、戦闘は収束するだろう。東ヨーロッパの人々は警戒心を募らせているが、ウクライナ東部の紛争が地域全体に広がる可能性は低く、せいぜい国境を接する国々に飛び火する程度だろう。

 イラクとシリアはこれとは事情が異なる。この2つの内戦はいっこうに終わりが見えず、混迷は深まる一方で、これといった政治的解決策は見当たらない。長年存続してきた国家の枠組みが崩れ、この一帯が国際的なテロの温床となる危険性もある。さらに、この2カ国からあふれ出す難民は近隣諸国にも緊張をもたらす。アメリカが最も直接的な責任を負うのも、この2つの国の危機だ。

 いま最も関心を集めている悲劇はいずれ幕引きを迎えるだろうが、イラクとシリアの混迷のドラマは落としどころがまったく見えない。

© 2014, Slate

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