中国は超大国と張り合わず
的を絞って目標を達成
だが、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を争う日本は別だ。日本の海上自衛隊はアジア最強クラス。戦闘スキル、訓練、兵器の技術水準から日中の海軍力を比べるなら、日本に軍配が上がる。
しかし中国のミサイル保有数と精度の向上、新型の対艦弾道ミサイル(ASBM)の導入を考慮すると、ミサイル戦になった場合は予断を許さない。中国は第5世代戦闘機の導入と艦船の保有数増加に的を絞って国防費を増やしているから、将来的には日本は海軍力で中国に優位を保つことが困難になるだろう。
そこで問題になるのが大物同士の力比べだ。米中の軍備比較が無意味だとは言わない。だが、東シナ海の今後を考えるなら、見落としてはならない事実がある。中国は軍備でアメリカに拮抗する必要がないということだ。
少なくとも今のところ中国は「第1列島線」周辺の防衛にはるかに強い関心を持っている。片や、アメリカは地球規模で超大国の責務を果たそうとしている。2国の軍隊のミッションはまったく違うのだ。
だからこそ、盛んに論じられている中国の戦略、つまり米軍の介入に対抗するA2ADが重要なのだ。周辺海域で紛争が起きたときに、介入してくる米軍を無力化すること。それが中国の狙いだ。
多数の船から成る攻撃部隊、空母打撃群を複数保有するには膨大なコストが掛かるが、その必要はない。巡洋艦と弾道ミサイル、従来型の潜水艦、機雷、その他比較的低コストの兵器が多数あれば、目的を果たせる。中国にとってはそれで十分だ。
2つの国の軍事力を正確に比べるのはそう簡単ではない。だが、ある国の軍隊の能力を判定するのは簡単だ。その国の指導層が掲げる目標、そして軍隊自体が設定した目標を達成できるかどうか──それだけだ。
残念ながら、それを論じても読者の興味をかき立てる記事にはならない。それでも、現在と今後の中国の軍事力で重要なのは目標達成能力のほうだ。
From thediplomat.com
[2014年3月25日号掲載]