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ウクライナはロシアの「属国」に戻るのか

2014年1月21日(火)13時08分
オーエン・マシューズ(モスクワ)

命運を握るのはどっち?

 それでもウクライナ国民の多くは自国の運命をヨーロッパに託したいと考えており、ヤヌコビッチ批判の声は鳴りやまない。「ヤヌコビッチはウクライナの独立を終わらせた」と、職権乱用罪で服役中のユリア・ティモシェンコ前首相は獄中から声明を発表した。

 モスクワでのヤヌコビッチは強気だった。独立広場を訪れてデモ隊を激励する欧米の政治家を「私たちに生き方を説教するやから」と呼んで非難する一方、ロシア主導でベラルーシとカザフスタンが加わっている関税同盟に参加の意向を表明した。

 短期で見れば、ロシアの資金と安い天然ガスでヤヌコビッチの政治生命とウクライナの財政は救われたといえるだろう。しかし15年の大統領選で再選を狙うヤヌコビッチの信用は、同国西部の有権者(大半が親欧州)の間で地に落ちた。
プーチンは南にある旧属国を買い戻せていない。今はまだ、期限付きの忠誠心を借り上げているだけだ。

[2013年12月31日号掲載]

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トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

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