南スーダンを駄目にする国際援助
内戦の瀬戸際に立たされた南スーダンが国家として成熟していくために必要なものとは
政府軍と反乱軍による激戦地となり破壊された北部の都市マラカル James Akena-Reuters
11年に独立を果たした世界で最も若い国、南スーダン。世界最貧国の1つでもあり、石油の領有権をめぐってスーダンと敵対するこの国が成功する見込みは最初から薄かった。国家崩壊の兆候をみるチェックリストがあれば、すべてに印が付くような状況だ。
昨年末には政府軍と反乱軍の戦闘が勃発した。政治問題と部族問題をはらんだこの衝突で、これまでに少なくとも1000人以上が死亡し、20万人近くが避難民となっている。こうした現状に陥った原因の1つは、南スーダンで過去2年にわたり、国際的なNGOが過大な役割を担ってきた点にある。
経済学者のグレッグ・ラーソン、ピーター・エイジャック、ラント・プリチェットが南スーダンを分析した昨年10月の論文によれば、南スーダンは06年から10年まで、毎年約10億ドルの国際援助を受けていた。これは独立前のことで、「独立後の1年間で受けた援助の総額は14億ドルに達する」と言う。
ラーソンらは、南スーダンは「従来型の国づくりと国としての能力開発に失敗し、『能力の罠』から抜け出せずにいる」と主張する(能力の罠とは、賢く働くよりも一生懸命に働くことに注力してしまう状況だ)。
南スーダンには数え切れないほどの教育や職業訓練、改革の場があり、国の諸機関には多くの外国人アドバイザーがいるにもかかわらず、真の変革が生まれていない。「国家のような体はしている」ものの、国家の働きをまったくしていないのだ。
複雑な問題に弱い援助
極端な例を挙げよう。ある支援国の官僚は、支援国とやりとりするために用意された「偽の財務省」と、実際に予算配分を行う「本物の財務省」があるのを見破っている。本物の財務省は、支援国に見えないところで、南スーダンの当局者が裏から操っている。
自己統治の歴史も公共機関もなく、基本的にゼロから始めるしかないなかで南スーダンの援助計画は実施されてきた。ラーソンらによれば、南スーダン人には国や制度が自分たちのものだという当事者意識が足りず、援助の効果を出すことだけに終始していた。