最新記事

朝鮮半島

グアムでのミサイル防衛の真の狙い

北朝鮮の脅威から同盟国を守るためのミサイル防衛システム配備と米政府は言うが

2013年4月4日(木)15時45分
プリヤンカ・ボガニ

準備万端? 北の「現実的で明確な脅威」を認めたヘーゲル米国防長官 Yuri Gripas-Reuters

 4月3日、米国防総省は最新鋭の弾道ミサイル防衛システムをグアムに配備し、北朝鮮の脅威に備えることを認めた。

 配備するのは、落下段階に入った短・中距離の弾道弾を大気圏上層ないし大気圏外で撃墜する「終末高高度防衛システム(THAAD)」。チャック・ヘーゲル国防長官は最近の北朝鮮の動きはアメリカや同盟国の日本と韓国に「現実的で明確な脅威」だと述べた。

「北朝鮮は今、核弾頭もミサイルも持っている」とヘーゲルは言い、北朝鮮の「敵意ある危険な言葉」に懸念を表明した。

 アメリカはこうした脅威を重く受け止めなければならないと、ヘーゲルは付け加えた。「アメリカは中国などとも協力し、あらゆる手段を用いて朝鮮半島の危機を回避する」

 その証拠が、THAAD。迎撃ミサイル1基あたり8億ドル、それを一回発射するごとに約100万ドルかかる高価なシステムだ。

 北朝鮮は今日も、核兵器使用を含む作戦が「承認された」と、挑発をエスカレートさせている。

 だが、国防総省関係者はウォールストリート・ジャーナル紙に対し、THAADもグアムからでは遠すぎて韓国を守れないと語っている。ミサイル防衛はアジアで極めて重要なグアム基地をはじめとする太平洋での権益を守るためのものだという。結局は、アメリカの国益優先なのだ。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場・寄り付き=ダウ約300ドル安・ナスダ

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ビジネス

FRBとECB利下げは今年3回、GDP下振れ ゴー

ワールド

ルペン氏に有罪判決、被選挙権停止で次期大統領選出馬
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中