最新記事

イタリア

有罪ベルルスコーニ「恩赦」でまた野放し

脱税容疑で禁固4年の判決が下されたものの、結局は今回も刑務所送りを免れそうだ

2012年10月29日(月)17時25分
アリソン・ジャクソン

俺は悪くない! ベルルスコーニの4年の有罪判決はあっという間に1年に減刑 Remo Casilli-Reuters

 イタリアの前首相シルビオ・ベルルスコーニを刑務所に入れておとなしくさせるのは、相当難しいようだ。

 ミラノ地裁は先週、脱税の罪でベルルスコーニに禁錮4年の有罪判決を下した。ところがわずか数時間後、4年の刑はたったの1年に減刑されることに。刑務所の過密状態を防ぐ目的で制定された06年の恩赦法に基づく決定だという。

 6年近く前に始まったこの裁判では、ベルルスコーニが所有するテレビ局グループ「メディアセット」の放映権をめぐる脱税容疑が争われてきた。メディアセットはアメリカから映画やテレビ番組の放映権を購入する際、ベルルスコーニの支配下にある海外の別会社を経由して購入額を実際よりも高く見せかけていた疑いがある。

 検察によると、ベルルスコーニら複数の被告は、実際よりも高い支払い金額を申告して差額を裏金にし、脱税していたとされる。しかしベルルスコーニ側は今回の有罪判決を不服として、すぐさま控訴した。

時間切れで逃げ切る可能性

 法律の専門家たちは、控訴手続きにかかる時間や76歳というベルルスコーニの年齢を考えると、彼が服役することはないとみている。

 ベルルスコーニは他に、未成年のモロッコ人ダンサーを買春した容疑でも起訴されているが、本人は容疑を否認。先日も法廷で、当時17歳だったこの少女との間に「性的行為は一切なかった」と主張した。

 これまでにもさまざまな罪で有罪判決を受けてきたにもかかわらず、一度も服役したことのないベルルスコーニ。今回も、すれすれのところで刑務所入りを免れそうだ。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ・メディア、「NYSEテキサス」上場を計画

ビジネス

独CPI、3月速報は+2.3% 伸び鈍化で追加利下

ワールド

ロシア、米との協力継続 週内の首脳電話会談の予定な

ワールド

ミャンマー地震、がれきから女性救出 死者2000人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中