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パラリンピック義足ランナー「彼の義足は長過ぎる」
自分が負けたのは相手の義足が長過ぎたからだと批判した「障害者アスリートの星」の言い分
場外乱闘 レースを終えたオリベイラ(右)とピストリウスだが Eddie Keogh-Reuters
南アフリカのオスカー・ピストリウスは、ロンドン五輪(健常者向け)の陸上男子1600メートルリレーに義足で出場した障害者アスリートの希望の星。だが続くパラリンピックの陸上男子200メートル(下腿切断などT44クラス)の決勝では、2大会連続金メダルを狙うピストリウスが、ゴール直前の20メートルでアラン・オリベイラ(ブラジル)に追い抜かれる波乱の結末に終わった。
だがレースの結果以上に注目を集めたのは、試合後のビストリウスの発言だ。彼は試合後のインタビューで、優勝したオリベイラの義足が「長すぎる」と批判し、選手の身長が「不自然に高い」状況を許している現行ルールに不満をにじませた。
これに対してオリベイラは、ピストリウスは憧れの存在であり、批判されるのはつらいと語った。「私の義足の長さに問題はない。すべての審査を通過しており、ピストリウスもその点は承知しているはずだ」
国際パラリンピック委員会(IPC)も3日、すべての選手の義足は2年前に定められた身長などの規定に基づいてチェックされており、オリベイラに違反行為はなかったと明言した。
義足が長過ぎる、という批判はパラリンピックでは今に始まったことではない。2004年には、ピストリウスのほうが批判を受ける立場だった。両足を失った選手の場合、こうした問題は避けられない。ピストリウスは幼少時に両膝下を切断したため、彼の身長を正確に推測するのは容易ではない。こうしたときのために、IPCは両腕を横に広げたときの幅などを基に、ありえた最高身長を割り出す公式を使っている。
ビストリウスの主張に潜む矛盾点
試合直後の興奮から冷めたのだろうか、ピストリウスは3日、自分の発言によって「他の選手の勝利から注目をそらさせるつもりはなかった。発言のタイミングについて謝罪したい」との声明を発表した。
ただし「(義足のサイズに関する規定について)は問題があると信じており、IPCと話し合う機会があれば歓迎する」とも主張。「スポーツの公平性を信じている。同じ問題意識をもつIPCと協働できればうれしい」
これを受けて、IPCは9月中にピストリウスと公式に会談し、「スタジアムの熱狂から離れた正式な場で彼の疑問を取り上げる」ことを約束した。
もっとも、こうした幕引きに納得できない人もいる。CBSのスポーツコラムニスト、グレッグ・ドイエルは、ピストリウスの騒ぎ方は自己中心的すぎると非難した。
ピストリウスは「(健常者向けの)ロンドン五輪で、自分の義足より重い下肢をもつ(健常者の)選手たちと競うのは問題ないという。伸縮性の高いカーボン製の義足では自動的にできる動きをするために、一般の選手がエネルギーを使わなければならないのも問題ないという」と、ドイエルは書いた。「義足のメリットが自分のプラスに働くときは義足を容認しながら、相手のプラスになったら文句を言っている」