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南スーダンPKOに自衛隊は行けるのか

周辺に多くの紛争をかかえ道路も整備されていない国で、戦闘に巻き込まれず貢献するのは至難の技

2011年8月19日(金)13時39分
知久敏之(本誌記者)

苛酷な任務 独立した南スーダンへの復興支援は不可欠だが  Paul Banks-UNMIS-Reuters

 今月独立した南スーダンの復興を支援する国連のPKO部隊に日本政府が自衛隊の派遣を検討している。日本メディアはこぞって賛同しているが、実現はそう簡単ではない。

 国連安保理は今月、7000人規模のPKO部隊「国連南スーダン派遣団(UNMISS)」の設置を決め、日本政府に対して、道路や橋を整備する自衛隊の施設部隊の派遣を要請。さらに事務総長は、PKO要員を運ぶヘリコプター部隊の派遣も求める考えを示している。

 しかし南スーダンで復興支援活動をしているNGO「日本紛争予防センター」の瀬谷ルミ子事務局長は、このPKOは「自衛隊にとって極めて過酷な活動になるだろう」と語る。

 瀬谷によると南スーダンは北部との間だけでなく近隣国との紛争や部族対立も抱えており、部隊が展開する地域によっては戦闘に巻き込まれる可能性がある。さらに懸念されるのはインフラの不備で、都市部を除けば道路がまったく整備されておらず雨期には洪水で移動さえ困難になる地域も多い。

 実際に戦闘に巻き込まれた場合にどう対応するのか。過酷な環境下で自衛隊部隊が十分な貢献ができるのか。肝心な議論はまだ始まっていない。

[2011年7月27日号掲載]

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