「統治も辞任もしない首相」ギリシャにも
パパンドレウ政権は既に「死に体」
それでも、パパンドレウは誠実な政治家として認識されていると語るのは、アリストテレス大学の政治学教授クリストフォロス・バーナーダキスだ。「彼は皮肉屋ではないし、一部の大臣たちのように欲深くもない」と、バーナーダキスは言う。
「だが彼は国民の尊敬を集めることができなかった。首相になれたのは前政権の失政と、父も祖父も首相を務めたという家系によるところが大きい。NGOの代表や大学教授には向いているかもしれないが、危機の最中の首相というタイプではない。なのに彼自身が、そのことにまだ気づいていない。国民にどう思われているかより、同盟国にどう思われているかを気にしているようだ」
多くの国民が街頭デモで同じことを叫んでいる。プラカードにはIMF批判の象徴である米国旗をまとったパパンドレウが描かれ、彼のことを「ジェフリー」というニックネームで呼ぶ。ギリシャ人には絶対に使われない呼び名だ。
「彼は私たちのことを理解していない」と、パパンドレウ政権の信任投票の際に議会の外でデモに参加していた音楽教師バンゲリス・アルジニデス(50)は語った。
先週、内閣改造が行われたばかりだというのに、パパンドレウ政権はもう「死に体」だというのが大方の見方だ。内閣改造では与党内の反パパンドレウ急先鋒の1人、エバンゲロス・ベニゼロス国防相を財務相兼副首相という重要ポストに昇格させた。
世論調査では国民の大半が早期の総選挙を望んでいないが、国内の政治・社会的な空気からすればいつ選挙に向かって走り出してもおかしくはないと、アテネ大学のアリスチデス・ハジス教授(法学)は言う。「ギリシャ人は、この国の政治を長い間もてあそんできた政治家たちへの信頼を失った。政治システムは崩壊しかけていて、パパンドレウはそのツケを払わされている」