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ファッション鬼才ガリアーノ破滅の真相
トップデザイナーの地位から転げ落ちた2月のあの晩にいったい何が起きたのか。捜査当局の証拠書類を基に徹底検証する
華やかな時代 ディオールのトレダノCEO(左)、香水のモデルとなった女優ナタリー・ポートマンと(2010年) Dimitrios Kambouris-Wireimage/Getty Images
どうして私みたいな女が着る服をデザインしないの?──ジョン・ガリアーノ(50)が記憶する限り、その運命の夜のトラブルは、見知らぬ女性が放ったこのひとことから始まった。
2月24日の夜、パリのマレ地区にあるカフェ「ラ・ペルル」でのこと。ガリアーノはクリスチャン・ディオールのクリエーティブディレクターとして、2011年秋冬コレクションの発表を翌週に控えていた。
女性側の言い分では、彼女は隣のテーブルにいる、長髪で海賊みたいな服装の男が有名なデザイナーだとは知りもしなかった。ホームレスではないかと思ったほどだ。
そして事態は瞬く間に悪化。ガリアーノはほぼ1時間にわたり、反ユダヤ的で人種差別的な言葉を女性客に浴びせ続けた。
ラ・ペルルはアート系の客に人気の店だが、決してしゃれた店ではない。カウンターは鉛製で、内装にはオレンジの合成樹脂が使われている。男性用トイレは床に置かれた便器に穴が開いているだけだ。この店なら何をしたって許されると、ガリアーノが思っていたのは明らかだ。
ところがその晩、騒ぎが大きくなって彼が警察に連行され、それが世界中で報じられると、ガリアーノの醜い行状が次々と明らかになった。...本文続く
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[2011年6月29日号掲載]