ベルルスコーニ「裸の王様」の最期
イタリア政治は麻痺状態だ。フィーニも野党の有力指導者も今のところ首相の座を狙える位置にはいない。対するベルルスコーニは、08年に成立した「現職の大統領、両院議長、首相は刑事訴追の対象にならない」という法律の合憲性をめぐり、憲法裁判所が12月中旬に出す予定の判決を待っている。
イタリアでは、早ければ来年の春に次の大きな選挙が行われる。ミラノ大学の社会学教授で世論調査を手掛けるレナート・マンハイマーによれば、ベルルスコーニが続投する可能性はあるものの、議会はこれまで以上に与野党が拮抗し、身動きの取れない状態になりそうだ。
そうした事態がもたらす結末は、一瞬にして都市が火砕流にのみ込まれたポンペイの最後ほどドラマチックではないかもしれない。だが指導者が危機的現状に目を向け、大胆な決断を下し、全面的に責任を取るようにならなければ、イタリア国民の未来はゆっくりとだが確実に葬られていくことになる。
[2010年11月24日号掲載]