最新記事

北欧

スウェーデン人がテロに動じない理由

2010年12月14日(火)18時13分
アン・トーンクビスト

青い目に金髪の国、は昔の話

 人口900万人のこの国は、過去20年で大きく変化した。移民を好意的に受け入れる政策によって、金髪で青い目という従来のスウェーデン人のイメージは完全になくなり、今はさまざまな生い立ちと民族性を持つ人々がこの国を構成している。総人口の10%以上がそのルーツを国外にもつ。

 秋に行われた総選挙では、移民排斥を掲げる極右・民主党が初めて議席を獲得した。「極右勢力はいつも自分たちの主張の裏付けになるような根拠を探し出すものだ」と、ローブルは言う。

 テロの当日、報道機関などに送られた電子メールは、スウェーデンそしてヨーロッパにいるイスラム戦士たちに武器を取るよう呼びかけていた。メールの内容はイスラム教への「中傷」にも触れていたが、詳しくは語っていなかった。

「最大の問題は宗教ではなく失業だ」と、製薬会社で働くリスト・ヘイモネンはクリスマスの買い物客で賑わう爆破現場の近くで語る。「こんなことをするのは、ほかにやることもなく時間があり余っているときに、イスラム過激派から目的意識を与えられた人間だ」

 少なくとも今回のテロによる被害が小さかったことで、国民は胸をなで下ろしている。グラフィック・デザイナーのマリア・フェーンステンは言う。「大通りにもう何メートルか近かったら、どうなっていただろう」

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、トランプ氏の発言歓迎 ウクライナのNATO

ビジネス

日産、ホンダとの統合協議を白紙に 取締役会が方針確

ビジネス

仏サービスPMI、1月は48.2に下方改定 5カ月

ビジネス

日産取締役会が終了、ホンダとの統合協議を白紙に戻す
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 2
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 5
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 6
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 7
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 10
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中