中国エリートは欧米を目指さない
2010年11月12日(金)14時58分
ノーベル平和賞に逆上
これだけ経済力を付けた今も、まだ民主化のために不可欠な政治的安定への自信は育めていない。国家政権転覆扇動罪で服役している作家で民主活動家の劉暁波(リウ・シアオポー)のノーベル平和賞受賞が決まったときの中国政府の逆上ぶりは、意外ではないが失望させられた。
こうした強硬姿勢は、清華大学で見た率直さや楽観主義とは対照的だ。新世代の中国エリートは、欧米から優れたものを吸収して自国で生かそうとしていた。
清華大学を去る前に、私は学生たちに卒業後はどこに住むつもりか尋ねた。大半は中国と答えた。10人ほどがアメリカと言った。ヨーロッパと答えたのは2人だけだった。そしてエンジニア志望の1人は、最も先見性があると思える答えを返してきた。
「西アフリカに行きたい」と、彼は言った。「中国にはチャンスがある。でも中国は急速に普通の国になりつつある。私は時代が動いているところに行きたい」
今は中国の時代だ。しかし、それも永遠には続かない。
[2010年10月20日号掲載]
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