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ロシアソチ五輪開催地の住民が怒るワケ
ロシア政府は国民に対し、14年のソチ冬季五輪の準備は順調に進んでいるとアピールする。だが政府の約束と現実の隔たりが広がるにつれ、国民の五輪への支持は揺らぎ始めた。
ソチ五輪は政府にとって一大行事だ。しかし国家財政が縮小するなか、約60億ドルという五輪予算が国庫の負担になり始めた。環境保護団体もその場しのぎの開発による自然への影響を懸念する。設備の建設を一手に引き受けるオリンプストロイ社の責任者は、07年から数えて既に2人が辞め、今の3人目も辞意を固めているという。
政府は楽観的な見方を崩さないが、環境団体は懐疑的だ。昨年末にはソチに建造された新港が吹雪で破壊されたが、世界自然保護基金(WWF)のピョートル・ゴルブネンコ副理事は、これは地域の気候や環境への影響をしっかり調査しなかったせいだと非難する。
問題は環境だけではない。プーチン首相はスタジアム建設予定地の住民の移転は今年中に「完了する」としたが、地元では反対の声が高まっている。立ち退きの補償額が2年前から二転三転し、「相場価格の50分の1にまで下がった」と住民は嘆く。新しい住居を探すなど不可能な額だ。「ソチが開催地に名乗りを上げた瞬間、国家的な詐欺が始まった」
(GlobalPost.com特約)
[2010年6月16日号掲載]