EUの地盤沈下が止まらない
2010年5月14日(金)13時13分
ギリシャのヨルゴス・パパンドレウ首相(外相時代にトルコとの関係を大幅に改善)や、ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相(近隣諸国との緊張を緩和)など、ヨーロッパにも優れた外交手腕を持つ政治家はいる。だが彼らは国内をまとめるので手いっぱいだ。
EUは重要な問題を放置する一方で、G8(主要8カ国)や20カ国・地域(G20)の首脳会議、IMF(国際通貨基金)の総会では、EUの議席数を3つに増やすよう要求している。実際の行動は伴わないのに体面ばかり気にしている印象を拭えない。
軍事予算が減るなか、経済面でもゼロ成長または低成長が続くEUは、世界の舞台でますます重要性を失っていくようだ。責められるべきはヴァンロンプイとアシュトンではない。ヨーロッパ全体の利益よりも自国の国益を優先する各国の指導者たちだ。
当面、EUが共通政策を取れるのは農業と貿易だけで、共通外交政策の実現は夢でしかない。しかもヨーロッパの指導者や有権者がその夢を追う気配は、今のところまったくない。
[2010年4月14日号掲載]
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