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インド政治

インド人民党を苦しめる17年前の亡霊

2009年12月14日(月)14時35分
ジェーソン・オーバードーフ、スディブ・マズムダル(ニューデリー支局)

 インドの国会で「舞台」の幕が上がる。悪役は野党の指導者たち。彼らが17年前に起こした犯罪についての報告書が攻撃の材料になる。芝居がかった論争が繰り広げられそうだが、有益な結論が導き出せるかどうかは分からない。

 この論争は、窮地に立って久しい野党インド人民党(BJP)にさらなる悩みを与えそうだ。暴力的なヒンドゥー至上主義を引きずっていたBJPの過去に再び光が当たりかねないからだ。

 報告書で、BJPは92年にヒンドゥー教過激派が北部アヨディヤのモスク(イスラム礼拝所)を破壊した事件の責任を問われている。BJPのラル・クリシュナ・アドバニ元総裁は「とどめを刺される」ことになるだろう。

 だがBJPにとって痛いのは、大きな影響力を既になくしたアドバニを失うことではない。むしろ問題は、BJPを脅かすヒンドゥー至上主義という過去の亡霊がよみがえることだ。

 今の有権者はこんな過激なイデオロギーに関心はない。彼らが興味を持っているのは、過去ではなく未来の繁栄だ。

 ヒンドゥー至上主義ばかりが強調されれば、BJPは与党でリベラルな国民会議派に対する保守的な野党としての立場を有権者にアピールするのが難しくなるだろう。

 BJPには魅力的なイデオロギーもなければ、大衆に人気があって将来の連立パートナーにも受け入れられる指導者もいない。なのに党内は派閥争いで割れている。インドで政権交代を担える野党が生まれるのは当分先になりそうだ。

[2009年12月16日号掲載]

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