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中南米BRICsの異端児ブラジルの実力
これまで「巨大新興市場」という看板を積極的に受け入れることのなかったBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)だが、ようやくやる気を起こしたようだ。
6月16日にはロシアでBRICs首脳会議を開催。国際金融システムの改革や米ドルに代わる国際準備通貨の創設など、野心的な議題について話し合う予定だ。
BRICsに国際社会のパワーバランスを変える力があるかどうかが注目されているが、本当に試されるのはブラジルの実力かもしれない。
ブラジルは4カ国のなかで異質な存在だ。経済成長では過去10年、他の3カ国に大きく後れを取っている。ロシアや中国と違い積極的に自由貿易を支持し、インドと違って農業市場の開放を支持。このなかで唯一核兵器を保有していない国でもある。他の3カ国は「既に世界に影響力を持つ国と認められているが、われわれは違う」と、あるブラジル外交官は語る。
ブラジルはBRICsの結束を呼び掛ける一方で、自国には他の3カ国にない強みがあると強調する。ウンゲル戦略担当相も先日、ブラジルには「(インドと違って)真の団結があり、(ロシアと違って)敵がおらず、(中国と違って)国民感情がほぼ統一されている。欠陥はあるが力強い民主主義国家だ」と豪語。ブラジルがBRICsを主導したい意向を匂わせた。
BRICs首脳会議での一番の課題は、西側諸国が言い分に耳を傾けるかどうかではなく、4カ国が気持ちを1つに合わせられるかどうか、なのかもしれない。
[2009年6月17日号掲載]