最新記事

ヘルス

「ブラジルナッツ」が女性のダイエットに効果あり...「フリーラジカル」とは何か?【最新研究】

Overweight Women: Eat Brazil Nuts to Tackle Inflammation, Suggests Study

2024年10月13日(日)08時30分
ハッティ・ウィルモス
ブラジルナッツ

Zigres-shutterstock

<過体重、または肥満の女性56人を対象にブラジルナッツと体重の関係を検証。腸内環境の改善とミネラル成分「セレン」について>

ブラジルナッツが過体重や肥満女性の慢性炎症を抑え、腸の健康の改善に役立つ可能性についてブラジル・ヴィソーザ連邦大学の研究者らが発表した。

炎症とは免疫システムが病気や感染症、ウイルスと戦うプロセスであるが、軽度ながらも持続する慢性炎症[自覚症状のない弱い炎症が長期にわたって体内で続く状態]が肥満、心臓病、2型糖尿病、認知症など、いくつかの慢性疾患に関連していることが分かっている。

【関連動画】地面にどっさり...ブラジルナッツと選定作業について を見る


 

酸化反応により引き起こされる酸化ストレスは、これらの慢性炎症の原因となる。「フリーラジカル」と呼ばれる化学反応によって、体内の細胞が損傷するためだ。

しかし、抗酸化物質によってフリーラジカルを中和することができる。ミネラルの1つであるセレンには抗酸化物質が含まれているため、大量のセレンを含むブラジルナッツに効果があるというわけだ。

ブラジルの栄養学者たちは、20歳から55歳までの過体重または肥満の女性56人を対象に、セレンを豊富に含むブラジルナッツと体重に関連する効果を検証した。

半数のグループはブラジルナッツを摂取せずにカロリー制限を行ない、残りの半数のグループは同じ食事に加えて、1日に2回ブラジルナッツを摂取。そして、研究開始時と終了時に腸の健康を測定するために血液と尿のサンプルを採取した。

8週間後、ブラジルナッツを摂取した女性のグループは、摂取しなかった女性たちよりも体重が減少していた。平均で7.7ポンド(約3.5キロ)減少したのに対して、摂取しなかったグループは5.5ポンド(約2.5キロ)の減少となった。

ブラジルナッツを摂取した女性たちは、炎症の値も改善していた。測定方法の1つである血中CRP(C反応性蛋白)を調べたところ、ブラジルナッツを摂取したグループでは大幅な改善が見られた一方で、摂取しなかったグループでは悪化していた。

具体的には、研究の開始時点で両グループ全体の24%で血中CRPが健康的なレベルに保たれていたが、終了時にはブラジルナッツを摂取したグループでは全体の36%、摂取しなかったグループでは全体のわずか4.7%のみが健康的な値を維持する結果となった。つまり、ブラジルナッツを摂取していた前者のグループの炎症が改善したのに対して、後者は悪化したことを示唆している。

また、より多く減量したブラジルナッツを摂取した女性たちは、炎症マーカーの改善がより顕著で血中CRPの値が大きく改善。あまり体重が減らなかった女性でも、ブラジルナッツを摂取しなかったグループの女性たちに比べて平均的によい結果となった。

研究者らは女性たちの腸の健康状態についても調査。肥満は腸の透過性[腸の粘膜の細胞間に隙間ができ、異物などが体内に漏れ出す状態]のリスクを高める可能性があり、腸内の物質が血流に移動することで、さらなる炎症を引き起こす可能性がある。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ガザの砂地から救助隊15人の遺体回収、国連がイスラ

ワールド

トランプ氏、北朝鮮の金総書記と「コミュニケーション

ビジネス

現代自、米ディーラーに値上げの可能性を通告 トラン

ビジネス

FRB当局者、金利巡り慎重姿勢 関税措置で物価上振
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    「ポリコレ」ディズニーに猛反発...保守派が制作する…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    「なぜ隠さなければならないのか?」...リリー=ロー…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 3

    「日本のハイジ」を通しスイスという国が受容されて…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「なぜ隠さなければならないのか?」...リリー=ロー…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:引きこもるアメリカ

特集:引きこもるアメリカ

2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?