私の体のことは私が決める...「中絶する権利」を求め闘った女性たちの団体「ジェーン」の「埋もれた歴史」
To Normalize Abortion
「ハッピーエンド」は遠く
映画はロー対ウェード判決が施行されて幕を閉じる。「ジェーン」が自分たちが救った女性たちの名前を記載したカードを燃やし、賃金の男女格差など次に取り組みたい問題について議論する場面を、ナジーは次のように振り返る。
「実際の『ジェーン』も依頼人の名前とプロフィールを記載したカードを破棄した。でも実は、いま炎上しているのは私たち、世界全体だ。その原因であるファシズム──としか言いようがないが──の台頭と両極化で人々がいがみ合うことが増えているせいで、ラストシーンがきれいごとのように感じられる」
「ジェーン」の取り組みはロー対ウェード判決が覆されただけになおさら、政治的行動主義の継続がいかに重要かを示したとナジーは言う。
「現在はこの映画も話題の一部になっている。女性が自分の体のことを自分で決める権利をめぐる問題が判決後も根強く残ったことを、人々が理解し始めたと思いたい」
「ロー対ウェード判決はかなり不安定な連邦法として施行され、以来さまざまな集団が覆そうとしてきた。自分の体に対する女性の自己決定権は、アメリカで、恐らく世界中でも、常に問題になってきた」
「それでも、これ以上政治的行動主義の状況を中絶など一つの問題に絞ることはできない。アメリカの、恐らくは世界中の女性の、生殖権や少数派や共和党員以外の投票権といった身近な現実に、絶えず関与しなければならない。それを人々が理解し始めたと思いたい。これらは絶えず目を光らせるべき深刻な問題だ」
「この映画が終わることのない会話の一部になることを願っている」
CALL JANE
『コール・ジェーン ─女性たちの秘密の電話─』
監督・脚本╱フィリス・ナジー
出演╱エリザベス・バンクス、シガニー・ウィーバー
日本公開中