「戦うバービー」ではないドラマ『ブラザーズ・サン』のリアル...「こんな女たちが見たかった!」
Putting Women Front and Center
2024年02月25日(日)10時15分
下心を隠してブルースに接近するグレース COURTESY OF NETFLIX
チャールズの恋の相手は、台湾時代の幼なじみで現在はロサンゼルスの検事補。彼女が恋愛より野心を優先する姿は新鮮だ。チャールズに恋愛感情を抱いているのは確かだが、そのせいで出世欲が揺らぐことはほとんどない。
本作の女たちは事あるごとに男たちを出し抜く。
アイリーンはシーズン1の前半で死体を始末し、行きつけの麻雀クラブで裏社会の情報を集めるなど、有能さを見せつけた末に、組織が崩壊し始めると究極の目的を明かす。
それは自分が組織のボス「ドラゴン・ヘッド」になること。黒服でこわもての男ばかりの秘密の会合に彼女が乗り込む(それも白服で!)とき、裏で糸を引いていた黒幕の正体が明らかになる。
ブルースはアイリーンが犯罪組織のボスになろうとするのを止めようとする。
「僕の母親に戻ればいいじゃないか」と説得する息子に対してアイリーンが叫ぶせりふは、アクション史上最高の女性賛歌と言っても過言ではない。「誰一人、ただの一度も、私の欲しいものが何か尋ねなかった! 私は私のものが欲しいの、ブルース! これまでしてきたことへの当然の見返りが!」