「見ているほうが恥ずかしくなる」ことで話題の『THE IDOL/ジ・アイドル』...唯一の見どころはリリーローズ・デップの演技力
A Feast of Cringe and Cliché
She's in charge now. #TheIdol pic.twitter.com/aN82p4EQKI
— HBO (@HBO) July 3, 2023
ブリトニー・スピアーズを哀れにしたようなポップスターのジョスリンを演じるのは、リリーローズ・デップ。むらがあるものの、時に素晴らしい演技を披露している。
母親の死や相次ぐ挫折のせいで、ジョスリンは精神的にぎりぎりの状態だ。その苦しみは、音楽業界の暗部を描く入り口として説得力がある。
第1話で、ジョスリンは自分をしのぐバックダンサーの踊りを見て、サングラスをかけた目から涙を拭う。その間も、ジョスリンの存在によってカネを稼ぐ周囲のチームは、市場価値が下落中の資産について話すように、彼女のことを語り合っている。
こうした業界の力学は、第2話でさらに具体的になる。このエピソードは第1話より出来がいいが、テスファイ扮するテドロスが再登場すると失速してしまう。
カムバックを図るジョスリンは新曲を発表しようとしている。だがレコード会社幹部のニッキ(ジェーン・アダムズ)は難色を示し、ジョスリンを叱責。
バックダンサーのダイアン(大物Kポップグループ、ブラックピンクのジェニーが演じる)を後釜に座らせようと、陰で画策する。
新曲のMV撮影で、完璧を求めて撮り直しを繰り返すジョスリンに、チームはいら立ちを募らせる。ジョスリンは出血し、チームは心配を口にするが、彼女が限界に達するまで誰も止めようとしない。
陳腐さになえる性描写
マネジャーの1人のハイム(ハンク・アザリア)は撮影後、ジョスリンを非難する。
「多くの人が私を頼っている。もう1年近く生活を支えているが、きみに商業的音楽を作る気がないなら、私がそんなことをするのは無責任だ」
ただ一人、ジョスリンを擁護していたハイムは、打って変わって厳しい態度を見せる。