最新記事

起業

「ヘルシーな食生活はお金持ちだけのものではない」──食に責任ある社会をつくるアプリの挑戦

“Healthy Eating Shouldn’t Be a Privilege”

2023年05月15日(月)17時33分
ズーイー・デシャネル(俳優・起業家)
ズーイー・デシャネル

説教がましくならずにヘルシーな選択を促したいと、デシャネルは考えている SAMI DRASIN/GETTY IMAGES

<健康にいい食べ物が物理的にも経済的にも手に入るだけでも恵まれている。2児の母でもある女優ズーイー・デシャネルが乗り出した、ヘルシーな食品を全ての人に届ける挑戦>

私は子供の頃、ヘルシーな食べ物をたっぷり食べて育った。両親は共に美食家で料理上手。母はいつも家で自家製のパンを焼いてくれたし、父も料理や新鮮な食材にこだわりがあるタイプだった。

大人になっても、私はずっとヘルシーな食生活を実践してきた。倫理的な理由でビーガン(完全菜食主義者)の生活を送った時期もあったけれど、そうした食生活を長く続けるのは難しく、魚は食べてもよいことにした。おかげで、レストランで注文するメニューに困ることは少なくなった。

最初の子供を妊娠したときは、ヘルシーな食生活を徹底した。私の場合、妊娠中に食べ物の嗜好が奇妙に変わることはなかった(普段は飲まないレモネードを欲しがったこと以外は)。

この時期は、自分とおなかの子供の安全のためにと思って、なるべく精製していないオーガニックの食材を食べるよう心がけていた。私はずっと、食べるものの原料と産地に気を配っていたけれど、正確な情報を得ることは難しかった。

ヘルシーと銘打っている食べ物のパッケージを見ても、原料の情報がはっきりしないことも多かった。実際に用いられている原料が、パッケージの言葉からイメージするものと異なるケースも少なくなかった。

この原料は人工? それとも天然? 途方に暮れることもしばしばあった。スーパーの店頭で商品をチェックしてヘルシーな選択をするためには、高度な専門知識が必要だと思うこともあった。

レストランでも事情は似たり寄ったりだった。食材がどこから来ているのかとスタッフに尋ねても、「えーっと......トラックですよ」といった返事しか戻ってこなかったりする。私が食べているものについての正確な情報は、誰も持っていないように見えた。

もう1つ気になり始めたことがあった。私が暮らすカリフォルニアでは新鮮な野菜がたくさん採れるし、幸い、私にはそのような野菜を買えるくらいの収入がある。

でも、そんな人ばかりではない。「フードデザート(食の砂漠)」と呼ばれる地域で暮らしている人たちは、栄養価の面で好ましい食べ物を適正価格で入手することが非常に難しい。ヘルシーな食べ物が手に入る環境にいるだけでも、自分がとても恵まれているのだと思うようになった。

ヘルシーな食生活を送ることは、一握りの人だけが手にできる特権ではなく、誰にでも認められる権利であるべきだと、私は思っている。

キャリア
企業も働き手も幸せに...「期待以上のマッチング」を実現し続ける転職エージェントがしていること
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、2月50.2で変わらず 需要低

ビジネス

英企業、人件費増にらみ雇用削減加速 輸出受注1年ぶ

ビジネス

上海汽車とファーウェイが提携、「国際競争力のある」

ビジネス

英1月財政収支、154億ポンドの黒字 予想下回り財
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 3

    マイクロプラスチックが「早産のリスク」を高める可…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    「ポリコレ」ディズニーに猛反発...保守派が制作する…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 3

    「ポリコレ」ディズニーに猛反発...保守派が制作する…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    LE SSERAFIMやチョン・ソミンも実践! 「ヴィンテージ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    メーガン妃からキャサリン妃への「同情発言」が話題…

  • 3

    「ハイヒールを履いた独裁者」メーガン妃による新た…

  • 4

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 5

    「ポリコレ」ディズニーに猛反発...保守派が制作する…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:ウクライナが停戦する日

特集:ウクライナが停戦する日

2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は