最新記事

教育

受験一筋だと「答えのない問題」で挫折する──「伸び続ける子」に育てるコツ

2023年02月21日(火)16時35分
船津徹

受験や就職を目的にすると、なぜいけない? (写真はイメージ)ferrantraite-iStock.

<受験勉強一筋で生きてきた子は「一つの正しい答え」にたどり着く力は強いが、「答えのない問題」に直面した時、どう考え、解決していけば良いのかわからなくなり思考停止してしまう......>

私はアメリカで20年以上に渡り学習塾を経営し、多くの子どもをハーバード、イェール、コロンビアなど、世界最難関と言われるアイビーリーグ大学に送り込んできました。

優秀な子どもにはいくつもの行動の一致が見られるのですが、たとえば大きな特徴の一つとして「何事にも本気で打ち込み、手を抜かない」ことが挙げられます。自分のための努力を惜しまず、勉強も、部活も、恋愛も、遊びも、100%の力で打ち込むのです。

いつでも100%を出し切るからこそ、自分の選択に後悔することなく、また失敗や成功、すべての行動から学びを得て、成長し続けていくという好循環ができていきます。それゆえに、少々の挫折には折れない心の強さ、物事を最後までやり遂げる意志の強さ、何事もコツコツ続けるという積み重ね、より大きな目標に挑戦するチャレンジ精神などが身についてゆくのです。

でもどうしたら「何事にも本気で打ち込む子」を育てることができるのでしょうか? 生まれつきの性格でしょうか? それとも受験勉強を一生懸命やればがんばる子に育つのでしょうか? あるいはスポーツや音楽などの課外活動に参加されば良いのでしょうか?

受験や就職を目的にすると、なぜいけないのか

これまで「有名校への進学」や「一流企業への就職」をゴールに育てられてきた子どもたちを多く見てきました。子どもが自分の意志で進学先や就職先を選択するなら何の問題もありませんが、親の希望やプレッシャーで、あるいはクラスのみんなが受験するから、と選択を他人にゆだねてしまった場合は、その後に大きなトラブルが起きることが多々あります。

たとえば、いざ志望校に合格した途端に燃え尽き症候群になってやる気がなくなってしまったり、進学後に激化する競争についていけず心が折れる。また、大学を卒業して大手企業に就職するも、キャリアの早い段階で挫折し、立ち直れなくなってしまった、などが典型的な事例です。

受験勉強一筋で生きてきた子は「一つの正しい答え」にたどり着く力は強いのですが、「答えのない問題」に直面した時、どう考え、解決していけば良いのかわからなくなり思考停止してしまうのです。答えのない問題を解くためには、普段から自分で考え、決断し、行動する経験の積み重ねが必要です。

さらに受験勉強一筋の子は、勉強以外の多様な経験と、その経験に裏打ちされた自信の少なさによって「自分が何者であるか」「どう生きたいのか」ということへ真剣に向き合うことができません。その結果、「言われたことはできるが、自分の意志で選択することができない」、社会に出ても「自分が何をしたいのかわからない」といったことが起きやすくなってしまうのです。

「何事にも本気で打ち込む子」に共通するのは、自分の頭で考え、自分で決断し、自分の意志で行動していることです。自分で導き出した「答え」が正しいことを証明したいから、うまくいかないことがあっても、あきらめずに努力を継続していけるのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解

ワールド

アングル:南米の環境保護、アマゾンに集中 砂漠や草

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 4

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

  • 5

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること