自分らしさとポジティブの大切さを教えてくれる、唯一無二のアイコン「渡辺直美」の魅力
時代錯誤と勘違い
渡辺は日本を飛び出し、2021年4月から活動の場をニューヨークに移した。市場の狭い日本語圏を脱して、英語を身に付けるための努力を重ね、今ではコメディエンヌの枠を超え、ファッションアイコンとして認知されるまでに。
2021年に開催された東京夏季オリンピックのオープニング演出の中で、総合企画エグゼクティブクリエーティブディレクター・佐々木宏氏による容姿侮辱問題があった。佐々木氏はブタの耳を付け、開会式に登場させることを提案したことを認め、謝罪。渡辺に対する「大変な侮辱」とした。
当時のこの報道を受けて渡辺は、芸人だから楽しくやったのではという意見もあったという。だが「もし(却下案が)採用されていたら断っていた。この演出を批判していたと思う」と話し、「いい方は悪いんですけど、普通に面白くないし意図も分からない。私がブタである必要性って何ですか? となっていたと思う」と、彼女の正直な思いを、中スポ・東京中日スポーツが伝えている。
怒って当然だ。「(佐々木宏氏らが)そういう世代」だから「まあまあ穏便に」で済む話なのか? 否、節操のない単なる「いじめ」だ。一部の男社会ではある程度容認されるであろう「悪ノリ」の最も汚らしい部分だった。国の威信をかけたイベントに、頭の良いはずのお国の声で組織化されたこれまた著名人やエリート達がプロジェクトを担っていたであろう。それでも起きた、最悪の事態だ。
「ポジティブ」を巻き起こす、日本が誇るべき人材
日本という国は国土が狭く言語は複雑で、話者は1億200万人、世界で1.662%。英語を身につけ、大きな市場に憧れる考える若者は増えざるを得ない。芸人の身でNYに単身で渡り成功を掴んだパイオニアとして、日本の若い世代は強く励まされている。
渡辺に「悪ノリ」、節操のない「からかい」をした本人、それを止められなかった周囲の人間は今どんな思いでいるのだろうか。残念だが、そこまでは分からない。
ただ、「渡辺直美」はパワーアップし続ける。世界を舞台にポジティブを巻き起こす唯一無二のアイコンの勢いはとどまるところを知らない。
渡辺が世界で名を轟かせるきっかけになった、レディー・ガガの「レイン・オン・ミー with アリアナ・グランデ」のパロディー。パフォーマンスは圧巻だ。