最新記事

教育

超エリートを輩出するアイビーリーグが課外活動を重視する理由

2021年08月10日(火)19時40分
船津徹

テニス全米トップジュニア、頭脳も全米トップ1%

2歳年上の姉の影響で4歳からテニスを始めたエリッサ(仮名)。メキメキと技能を伸ばし、小学校時代には地域のジュニアトーナメントで連戦連勝、将来を有望視されるジュニアプレーヤーの一人になっていました。

コーチはテニス経験のある母親でした。母親はエリッサの「負けず嫌いな性格」を活かすことを考え、競争中心の練習メニューを作りました。ラリー、ボレー、サーブ、すべてポイント制で勝敗がつくようにしました。最初は姉に負けてばかりでしたが、すぐに五分五分の勝負をするようになりました。

エリッサは地域の試合では物足りなくなり、全米レベルの試合に出場するようになりました。トーナメントのために学校を休むこともしばしばありましたが、学業にも手を抜くことはありませんでした。「負けたくない」という気持ちが人一倍強いので、練習の合間に、勉強にも真剣に取り組んできたのです。

高校ではテニス部キャプテン、吹奏楽部のコンサートマスター、登山クラブの部長を兼任。さらに高校3年生の時に受けた学力テストで全米トップ1%の成績優秀者に与えられるナショナルメリットスカラーに選出されました。

大学は第一希望のアイビーリーグ大学に合格。大学でもテニスを継続していますが、本人はプロを目指すつもりはありません。ジュニアテニス、大学テニスを通して、自分よりも才能ある選手たちと戦ってきた中で、自分なりに出した答えです。

エリッサの大学での専攻は環境エンジニアリングです。将来の夢は自然環境に優しいクリーンエネルギーの研究者です。高校で登山クラブに参加していた時から、環境保護に強い関心を持っていたのです。テニスで自分の目標を達成した次は、研究者というゴールに向かって突き抜けていくことでしょう。

課外活動に取り組むと勉強もできるようになる

エリッサが様々な分野で才能を開花させることができたのは、親が「負けず嫌い」という特性を伸ばすことを考えた環境や教育を与えてきたからです。

課外活動を始める前に、子どもの特性を見抜き、強みとして発揮できる環境を用意する。その強みをさらに伸ばせるようにサポートし、少しずつ目標を高めていく。そんな地道な行動をコツコツと積み重ねることが欠かせないのです。

優秀な子どもたちに共通することとして、みな課外活動を通して「特技」を獲得しています。スポーツ、音楽、アート、演劇など、課外活動に勉強と同じくらい時間と労力を費やしています。

不思議に思われるかもしれませんが、課外活動に真剣に打ち込んでいる子どもは勉強もできるようになります。課外活動の練習を通して「粘り強さ」が身についていますから、学力も同時に身につけていくことができるのです。

このことは学問的にも裏付けられています。Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine Physical Activity and Performance at Schoolがスポーツと学業に関する14の研究の信ぴょう性を調査した結果、スポーツ参加は学業成績によい影響を与えることが確認されています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税で影響の車両に「輸入手数料」、独VWが

ワールド

米関税「極めて残念」と石破首相、トランプ大統領に働

ワールド

情報BOX:世界が震撼、トランプ大統領が打ち出した

ワールド

米国家安全保障担当チーム、「シグナル」に20のグル
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    2つのドラマでも真実に迫れない、「キャンディ・モン…

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    石けんや歯磨き粉に含まれるトリクロサンの危険性──…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    2つのドラマでも真実に迫れない、「キャンディ・モン…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 3

    「日本のハイジ」を通しスイスという国が受容されて…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:引きこもるアメリカ

特集:引きこもるアメリカ

2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?