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女性問題

女性だけが受ける「生理による損失」...まずは経済的支援で不条理を正せ

THE HIDDEN TAX ON WOMEN

2021年05月20日(木)11時37分
アニタ・ダイヤマント(作家)
スコットランドで生理用品法案への支持を訴える人々

スコットランドで生理用品法案への支持を訴える人々 ANDREW MILLIGANーPA/AFLO

<女性というだけで数々の不利益が強いられている現状。女性だけが払う金銭負担のサポートは入り口にすぎない>

生理の貧困とは、生理用品はもちろん、清潔な水や衛生環境、生物学と生殖に関する教育など、生理に最低限必要なものにアクセスできないこと。しかしそれだけではない。さらに広範囲に及ぶ問題なのだ。

世界で常に8億人が生理の最中にある。前述したような最低限のものが手に入らないと、彼女たちは社会から取り残され、学校や仕事などの活動に周期的に参加できなくなる。

アニタ・ダイヤマントの新著『ピリオド─羽ばたく女性たち─ 』は、恥ずべきものとされやすい生理の問題の現状と、その解決に立ち上がる人々を取り上げている。2019年に同タイトルの映画でアカデミー賞短編ドキュメンタリー映画賞を受賞したプロデューサーのメリッサ・バートンも序文を寄せている。

ここでは本書からいわゆる「タンポン税」と、生理用品を必要とする人がもっと簡単に手に入れられるようにするための法制度に関する部分を編集して紹介する。

◇ ◇ ◇

日曜日の夜。今週の金曜日まで50ドルでしのがなければならない。きつきつだが、バス代を払い牛乳やスープの材料を買ったとしても、何とか間に合いそうだ。子供たちは学校で朝食と昼食が出るから助かる。そう思っていたら、長女が空になったタンポンの箱を持ってきた。

月曜日の朝。ベッドの中で今日の予定を考えている。数学のテストに、陸上部の実技試験。トイレットペーパーを丸めて下着の中に詰めておかなくちゃ。一日中、心配でたまらない。漏れたらどうしよう。落ちたらどうしよう。

この前、保健室にナプキンをもらいに行ったら、ないと言われた。友達にもらうのは気が引ける。もう頼めない。実技試験は諦めよう。数学のテストが終わるまでは、トイレットペーパーでもつかな。やっぱり学校は休もうかな──。

生理用品は高価だ。推計によると、ナプキン、タンポン、パンティーライナー、鎮痛剤、下着など、1人の女性が生理関連に払う費用は生涯で1万4680ドル。スーパーやドラッグストアに簡単に行けない貧しい地域では、さらに金額がかさむ。

生理の貧困は、あらゆる国のあらゆる地域に存在する。貧困の意味は人それぞれだ。タンポンが買えない、洗濯した布ナプキンを乾かす場所がない、手を洗うきれいな水がない、他人に見られないところでケアをするトイレがない、使った生理用品を捨てる場所がない......。

生理の貧困は、トイレットペーパーのように基本的なものを手に入れるために、小銭を数えるということだ。学校や仕事を休むということであり、繰り返せば仕事を失いかねない。数学で落第点を取って、補習を受け、時には退学せざるを得なくなるだろう。

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