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オンライン訴訟手続きに、猫で登場した弁護士......「私は猫じゃありません」

2021年02月16日(火)17時15分
松丸さとみ

オンラインでの訴訟手続きで、弁護士が猫のフィルターで登場......Kitten Zoom Filter Mishap/YouTube

<米テキサス州のオンライン訴訟手続きで、弁護士ロッド・ポントン氏はバーチャル裁判にログインしたところ、自分が猫になっていることに気づいた。「どうやったら外れるのか分かりません」「このまま行きます」......>

拡散動画はバーチャル裁判での一コマ

先日、ソーシャルメディアを中心に至るところで話題になっていた、うるうるした瞳で「猫じゃありません」と訴える弁護士の動画はご覧になっただろうか。「あの猫フィルター、欲しい!」と思った人もいたかもしれない。とはいえ実は、まったく同じものを見つけるのは至難の技のようだ。

話題の動画は、米テキサス州で行われた、オンラインでの訴訟手続きであった一幕だ。弁護士のロッド・ポントン氏は2月9日、秘書のパソコンを使用してバーチャル裁判にログインしたところ、自分が猫になっていることに気づいた。

ロイ・B・ファーガソン裁判官に、「ポントンさん、ビデオ設定でフィルターがオンになっているようです」と指摘されたポントン氏は、猫の姿のまま驚いた様子でキョロキョロした後、「聞こえますか?」。「アシスタントが(フィルターを)外そうとしてくれているんですが、どうやったら外れるのか分かりません」と説明。「このまま行きます。ライブでちゃんとここにいますよ。私は猫じゃありません」と続けた。

このやりとりは40秒ほど続いたが、最終的にポントン氏はフィルターを外すことができ、裁判は無事に始められたようだ。ファーガソン裁判官は、「教育目的」でこのやりとりをツイッターとYouTubeで公開。「お子さんがパソコンを使った後にバーチャル聴聞会に出席する場合、フィルターが外れていることを確認しましょう」とツイートしている。

ポントン氏は米CNNの取材に答え、猫のフィルターがかかってしまった経緯はよく分からない、と話した。ミーティングが始まる前にチェックした際には、問題なく自分の顔が映し出されたとCNNに説明している。

Zoomにはない猫フィルター

こうしたハプニングを受けてか、Zoomのヘルプ・センターには、「猫のフィルターを外すには」というヘルプページが開設されている。「フィルターを使うのは楽しいですが、真剣な会議ではcat-astrophe(catastrophe=大惨事)になりかねません」として、フィルターの外し方を説明している。

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あのフィルターをZoomで探した、という人も少なくないかもしれない。ところがこの猫のフィルターは、Zoomでは見つからないようだ。

CNNが調べたところ、ポントン氏が誤って使った猫のフィルターは、デルの古いタイプのパソコンに付いていた、ウェブカメラ用のソフトウェア「Webカメラ・マネージャー」に備わる「Live! Cam Avatar」というツールだった。

デルの説明書によると、このツールを使えば、有名人や動物などをアバターとして使えるようになる。ユーザーの頭や口の動きに合わせて、アバターの頭や口も動くという精巧な作りだったようだ。あの動画でも、ポントン氏の目や口の動きに合わせ、まるで本当に猫がしゃべっているかのような動きを見せていた。

とはいえCNNは、最近のデルのパソコンには入っていないツールであるため、見つけるのは難しいだろうとしている。確かに、ポントン氏があの日に使用した秘書のパソコンは、10年くらい前のものだという。

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