最新記事

占い

ミレニアル世代の赤ちゃんを狙う星占いブーム

What’s Your Sign, Baby?

2020年11月04日(水)17時00分
ヘザー・シュウィドル

PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. PHOTOS BY PICSEA/UNSPLASH, VECTORTATU/ ISTOCK/GETTY IMAGES PLUS AND ARTEM BELIAIKIN/UNSPLASH

<占い好きなミレニアル世代の親をターゲットに、アメリカの出版社はこぞって乳幼児向けの占星術本を刊行中>

ジュリー・マティシクの3歳になる娘は、まだ字が読めない。でも、自分が魚座であることは知っている。「この子は誰にでも聞くの。『何座なの?』って」と、マティシクは言う。

幼稚園でもテレビの子供向け番組でも、星占いのことは教えられていない。でも最近、書店には乳幼児向けの星占い本が競い合うように並んでいる。マティシクも出版社ランニング・プレスの編集者として、そんな本を担当した。

このブームの源は、ミレニアル世代が星占い好きであることだ。現在20代前半から30代後半のミレニアル世代は、まさに出産適齢期。占星術アプリや星占い情報が大好きなこの年代の親は、わが子にも星占いの魅力を教えたがるのではないか──出版社はそこに目を付けた。

クロニクル・ブックスは8月、星座別の「リトル・ゾディアック」シリーズ12巻を刊行。ダブルデイも最近、「ベビー・アストロジー」シリーズ12巻の配本を終えた。

この1年に出版された乳幼児向け星占い本は、相当な数に上る。ランニング・プレスでマティシクが担当した『私の最初の星占い』や、スターリングの「マイ・スターズ」シリーズ、インプリントの『マインド・ボディー・ベビー:占星術』など、どれも0 歳から3〜4歳向けの絵本だ。

著者や編集者は、乳幼児が12の星座を全て覚えられるとは思っていない。もちろん、本を買ってくれるのが乳幼児だとも思っていない。

「児童書はどれも、大人が子供に与えることを想定して作られる」と語るのは、インプリントの発行人を務めるエリン・スタイン。クロニクル・ブックスの編集者で「リトル・ゾディアック」シリーズを担当したダリア・ハーパーは「どんな絵本も大人が幼い子に読み聞かせるものだから、それぞれのパートで子供と親の両方にアピールする要素を考えて、バランスを取らなくてはいけない」と言う。

子供は誕生日が大好き

ハーパーによれば、彼女の会社は子供向けの星占い本に力を入れている。営業部門から「乳幼児に星占い?」という戸惑いの声は上がったものの、「疑似科学」を小さな子供に教えていいのかという真正面からの反対意見はほとんどなかった。「10年前だったらこうはいかなかったかもしれない」と、ハーパーは言う。

今はこうした本を試す絶好のタイミングだと、スタインは言う。星占いやその他のニューエイジ関連ジャンルが社会的に認められてきたこともある。おまけに最近は、乳幼児向けに編集された古典文学の要約本や、量子物理学のような高度な内容を教える絵本など、しばらく前なら出版が難しかったような児童書が流行している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「男性に守られるだけのヒロイン像」は絶滅?...韓ド…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    韓国のキム・ジヨンに共感する、日本の佐藤裕子たち..…

  • 4

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 5

    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …

  • 1

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 2

    タンポンに有害物質が含まれている...鉛やヒ素を研究…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    「ショート丈」流行ファッションが腰痛の原因に...医…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン皇太子一家の「グリーティングカード流出」…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    キャサリン妃の「結婚前からの大変身」が話題に...「…

  • 5

    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプ新政権ガイド

特集:トランプ新政権ガイド

2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?