「飾り窓」のツアー 禁止に続き、大麻カフェも規制へ?
Red-Light District Tours Banned
見せ物だけど見せ物ではないアムステルダムの赤線地区 REUTERS/Yves Herman
<観光客の洪水に悲鳴を上げるアムステルダム市が「名物」の規制に乗り出した>
新型コロナウイルスの拡大で下火になったものの、ここ数年の旅行ブームはすさまじかった。格安航空や民泊の拡大で、これまで外国旅行にさほど関心のなかった人たちも世界に飛び出し、各地で自撮りをし、SNSに投稿する。
おかげで世界の観光地はパンク状態だ。観光収入が自治体経済の大きな柱とはいえ、あふれ返る観光客(しかも旅先の解放感からマナーを忘れる人も多い)に悲鳴を上げる自治体は少なくない。観光公害という言葉も登場した。
オランダの首都アムステルダムも例外ではない。しかもこの街には、歴史と運河とアートに加えて、ほかの観光地にはない「名物」がある。合法的な性産業(いわゆる赤線地区)と、大麻を吸える「コーヒーショップ」だ。
だがアムステルダム市はこの4月から、有名な「飾り窓」エリアを含む赤線地区の見学ツアーを禁止する。理由は、観光客が街路にあふれて街の機能に支障を来していること、そして性産業で働く人と地域住民の両方の迷惑になっていることだ。
今後も個人でこれらの地区を散策することはできるが、団体で訪れることはできない。ルールに違反してツアーを実施したガイドには、190ユーロの罰金が科される。ツアー会社の場合、その金額は2500〜7500ユーロに跳ね上がる。
「性産業従事者を観光の対象にするのは失礼だ」と、ビクター・エババーハート副市長は述べている。これまでも赤線地区のツアー客に対し、ドラッグの使用や飲酒を禁止したり、大声を出すことや店の入り口付近にたむろする行為を禁じるといった対策は講じられてきた。だが「近隣住民や性産業従事者は、依然としてツアー客の存在に迷惑を被っている」と、市当局は言う。
大麻カフェも規制へ?
さらにアムステルダム市は、観光客が押し寄せるもう1つの大きな理由であるコーヒーショップについても規制を検討しているという。
市当局が18〜35歳の観光客1161人の声を聞いたところ、約3分の2がアムステルダムを訪れた最大の理由として、「大麻を堂々と吸えること」と答えたという(ただし、コーヒーショップで提供される大麻は店内で使用しなくてはならず、「テイクアウト」はできない)。