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ファストファッション

カオスな閉店セールと共に去ったフォーエバー21 ファストファッションの誤算とこれから

2019年11月18日(月)17時35分
寺町幸枝

再出発を目指すフォーエバー21

今回破産申請を出したフォーエバー21は、こうしたファストファッションを推し進める企業の中でも、突出した成功を収めていた企業だった。世界で800店舗超を保有し、売上高は非公開だが、2018年時点で30億ドル(約3270億円)を誇っていた。

一方で今回の破綻申請は、社内には全く事前通知されることなく進められた。突如解雇通達を送りつけられた従業員たちは、小売店の従業員のために立ち上がった組織「United for Respect(ユナイテッドフォーリスペクト)」を通じて、フォーエバー21に対して退職金の確保や補償を得るための訴えを起こした

同組織は、おもちゃ専門店「トイザらス」の2017年の破産申請時に、2000万ドル(約22億円)の経済的助成を確保することに成功している。

本拠地であるアメリカでは、今回の破産申請を機に社内のリストラを進め、継続営業する店舗を中心に、ビジネスを継続するという。ニュース解説メディアVox.comは今回のフォーエバー21の破産申請について、トイザらスのように、事業を立て直した後、新たな方向性を見出して、復活することも十分ありうると分析する。

しかし、事業を推し進めてきたオーナー夫婦が退任するわけではなく、すでに従業員や取引関係者から批判が溢れている状況で、どれだけそのビジネススタイルを変えられるのだろうか。

そもそもティーンを中心とした若者をターゲットに業績を伸ばしてきたフォーエバー21の破綻の原因を、「若者たちがいかに洗練されていて、情報通かということを甘く見ていた結果だ」と分析するのは、ザ・アトランティックだ。

記事によると、「ミレニアル世代よりもさらにZ世代(現16−24歳)の方が、その服のエシカル性や、本物志向、また生産過程の透明性などまで意識をしている人が多い」という。確かに多くの若者が、気候問題に意識を向けるきっかけとなったグレタ・ツゥンベリーさんを支持していることからもわかる。

【参考記事】今年の大卒は安定第一? それでもジェネレーションZが秘める大きな可能性
【参考記事】ベビーブーマーの「老害」はもうたくさんと、若者世代が年齢差別のスラングで反撃

もちろん、ネットショッピングの利用が、以前より浸透していることで、小売ビジネス脅威となっていることは周知の事実だ。しかし、従業員への必要以上の締め付けや、秘密主義、取引先や生産工場との関係性などで、ネガティブな噂が絶えなかったフォーエバー21は、破綻という結果を迎えたのは致し方ないことなのかもしれない。

ファッションビジネスの前途は多難だ。今や「衣・食・住」と呼ばれる、人間が生きるために必要最低限のものの一つであった存在から、「衣」は外れてしまった。先述のように、多すぎるアパレル商材を手にする現代人にとって、衣服は寒さや暑さといった環境から身を守るための存在から、「自己表現のツール」としての意味合いが深くなっているためだ。

米国ではチャプターイレブン後、従業員と顧客と真摯に向き合い、復活を遂げたデルタ航空の例もある。ファッション業界で、フォーエバー21は復活を遂げられるのか、今後の動きに注目したい。

【参考記事】逃げ切りたい中高年は認めたくない? ミレニアル世代が高給でも仕事を辞める理由


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