「日本のハイジ」を通しスイスという国が受容されている──スイス国立博物館のハイジ展の本気度
将来、ハイジのテーマパークが登場か?
「日本のハイジ」展が盛り上がりを見せている中、ハイジの舞台となったマイエンフェルト村の「ハイジ村と名付けたエリア」も、相変わらず人気だ。スイス国内の観光客も行くし、ハイジの世界を自分の目で見たいという日本からの観光客が絶えることはない。そして他国の観光客も、日本人観光客と同じ思いで訪れる。ハイジ村のショップでは、「日本のハイジ」グッズがたくさん売られている。トムセンス教授が言う「ハイジ現象」を経験した人にとって、まさにここで、そういったグッズに出合うことも嬉しいことなのだろう。数年前、ハイジ村のイベントで通訳した日本人によると、ハイジ村を経営する企業は、「将来、ハイジを世界的なブランドにしたい」と言っていたそうで、益々ハイジのPRに力を注ぐはずだ。
そしていま、それらのグッズが別の場所で買えるようになる可能性が出てきた。ハイジのテーマパークを作る計画があるのだ。開園想定場所はマイエンフェルト村ではなく、チューリヒからマイエンフェルト村へ向かう途中のフルムサーベルク(山岳・スキーリゾート)だ。テーマパークの完成イメージ画も出ている。2019年8月の報道によると、早ければ、およそ3年後に開館かもしれない。もし実現したら、「日本のハイジ」グッズを置かない理由はないだろう。「日本のハイジ」は、これからもスイスの観光大使として活躍しそうだ。
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[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」理事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com
※9月24日号(9月18日発売)は、「日本と韓国:悪いのはどちらか」特集。終わりなき争いを続ける日本と韓国――。コロンビア大学のキャロル・グラック教授(歴史学)が過去を政治の道具にする「記憶の政治」の愚を論じ、日本で生まれ育った元「朝鮮」籍の映画監督、ヤン ヨンヒは「私にとって韓国は長年『最も遠い国』だった」と題するルポを寄稿。泥沼の関係に陥った本当の原因とその「出口」を考える特集です。