キアヌ・リーブスの輝きがあせない理由
Watching Keanu for 30 Years
Amanda Perobelli-REUTERS
<ネットフリックスの最新映画で改めて明らかになったアジア系アメリカ人俳優の神秘的魅力>
ネットフリックスで5月末に配信が始まった映画『いつかはマイ・ベイビー』は、昨年大ヒットした『クレイジー・リッチ!』と似た雰囲気の、アジア系俳優を中心とする恋愛コメディーだ。主人公は、有名シェフとしてロサンゼルスで活躍するサーシャ(アリ・ウォン)。
そんなサーシャが映画の中盤で、「新しい恋人ができた」と紹介するのが、俳優キアヌ・リーブス(54)だ。黒いベルベットのジャケットを着たリーブスがさっそうと登場すると、映像はスローモーションになり、繊細だがカリスマあふれるその美しい姿に、レストラン中の客の目がクギ付けになる。
サーシャの友達は「オー・マイ・ゴッド」と口をあんぐり開けるが、観客も全く同じ反応を示すに違いない。その14分間の出演時間で、リーブスは「キアヌ・リーブス」という役に喜々としてなりきっているかのように、コミカルな演技を見せる。
例えば、リーブスが人目もはばからずにサーシャを抱き寄せるシーン。サーシャは性的な欲求を全開にした愛の言葉を恋人にささやき掛けるが、リーブスはそれに対して、やたらとスピリチュアルな言葉を返す。サーシャが「あなたの親指が恋しかった」と言えば、リーブスは「君の魂が恋しかった」と答えるといった具合だ。
『いつかはマイ・ベイビー』は、リーブスのアジア系アメリカ人としてのルーツを思い起こさせると同時に、俳優歴30年を迎え る彼がこれまで演じてきた多様な役柄(そしてインターネットで大いに話題になった素顔)を垣間見せてくれる、ファンにとって最高に楽しい作品だ。
マーベル映画出演は拒否
実際、リーブスはこの30年間に実に多様な役を演じてきた。初期に出演した、高校生の殺人事件を描く『リバース・エッジ』(86年)では大人びた不良少年を演じ、『ビルとテッドの大冒険』(89年)では正反対のおバカな高校生テッド・ローガンを好演した。
その2年後には『ハートブルー』(91年)で、スポーツ万能のFBI捜査官ジョニー・ユタを演じ、『スピード』(94年)では、マッチョだがやたらと礼儀正しいSWAT(特殊部隊)隊員を演じ大ブレイクした。さらに、ハッカー転じて美しき救世主ネオを演じた『マトリックス』(99年)は、ハリウッド映画の新しい時代を開いた。
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