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ペット犬を飼うかどうかは遺伝子が影響を与えている
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<スウェーデンの研究チームは、「犬を飼うかどうか決定するうえでヒトの遺伝的構成が大きな影響を与えている可能性がある」との研究論文を発表した>
犬は、1万5000年以上前から人間と密接なつながりを持ってきた。しかし、私たちの日常生活や健康に犬がどのような影響を与えているのかについてはまだ解明されていないことも少なくない。
スウェーデンのウプサラ大学を中心とする研究チームは、人間の遺伝子と犬の飼育との関係を分析し、2019年5月17日、科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」において「犬を飼うかどうか決定するうえで個体の遺伝的構成が大きな影響を与えている可能性がある」との研究論文を発表した。
スウェーデンの双子を対象に研究した
これまでの研究では、幼年期にペットと接した経験を持つ大人は、ペットや動物への関心が高く、ペットの飼育にもより積極的であることが示されているが、遺伝子と犬の飼育との関係についてはわかっていなかった。
そこで、研究チームでは、遺伝子や環境的要因が人間やその行動にもたらす影響を解明する一般的な手法として、スウェーデン国内で生まれた双子の出生データや医療記録などを集めた「スウェーデン双子レジストリー」のデータとスウェーデンで2001年から2016年までに登録された犬のデータを用い、1926年から1996年までに誕生し、2006年時点で生存している8万5542人の双子を対象にこのテーマを研究した。
一卵性双生児はほぼ同一の遺伝子を有する一方、二卵性双生児の遺伝子で同一なのは半分程度なので、両者の犬の飼育における一致度を比較すれば、遺伝子が犬の飼育に影響をもたらしているかどうかがわかると考えたのだ。
対象となった8万5542人のうち犬を飼っていたのは全体の9.9%に相当する8503人であった。また、犬の飼育について一卵性双生児のほうが二卵性双生児よりもより高い確率で一致し、遺伝率は女性で57%、男性で51%となっている。
どの遺伝子が犬を飼うかどうかの決定に作用しているのか......
研究論文の筆頭著者であるウプサラ大学のトーベ・フォール教授は、一連の研究結果について「人間の遺伝的構成が犬を飼うかどうかに影響しているとみられることは驚きだ。ペットを世話するという生来の性向をより高く持っている人がいるのだろう」と述べている。
また、その上席著者でスウェーデンのカロリンスカ研究所のパトリック・マグヌソン准教授は、今後の研究課題として「どの遺伝子が犬を飼うかどうかの決定に作用しているのか、また、これらの遺伝子が性格やその他の特性とどのように関連しているのか、明らかにする必要がある」と指摘している。