最新記事

同性愛

同性愛を公表したらキャリアに傷が──クラシック音楽界とメディアのタブー

Opening the Closet at the Met

2019年05月09日(木)14時15分
ジョエル・ローゼン(音楽評論家)

バーンスタインは、妻がいるにもかかわらず男性のパートナーも持つ「二重生活」を送っていたが、新聞や雑誌は妻との生活を美化して描いた。ピープル誌は1970年代、バーンスタインと妻の関係が悪化していたのに、夫婦関係を「おとぎ話のよう」と評したことがあった。

同性愛が隠されるのはたいてい、同性愛者に対して敵対的な風潮が社会に存在していて、NYTのような主流メディアがそれを助長するからだ。ウルフの記事は、音楽メディアがそうした「共犯者」だった歴史に光を当ててもよかったはずだ。

主流メディアがもっと前から指揮者の同性愛のタブー扱いをやめていれば、私たちはクラシック音楽の歴史と過去の偉大な指揮者たちについてもっと理解を深められただろう。

ウルフが書いたNYTの記事には、メトロポリタン・オペラから「悪い同性愛者」(レバイン)が去り、代わりに「いい同 性愛者」(ネゼセガン)がやって来たというニュアンスが感じ取れる。

そのような内容でよしとせず、過去の報道を反省して謝罪する記事になっていたら、同性愛者を取り巻く状況だけでなく、NYTのジャーナリズムも大きく変わったことを印象付けられただろう。

©2019 The Slate Group

[2019年2月19日号掲載]

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「男性に守られるだけのヒロイン像」は絶滅?...韓ド…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    韓国のキム・ジヨンに共感する、日本の佐藤裕子たち..…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 2

    タンポンに有害物質が含まれている...鉛やヒ素を研究…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    「ショート丈」流行ファッションが腰痛の原因に...医…

  • 5

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン皇太子一家の「グリーティングカード流出」…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    キャサリン妃の「結婚前からの大変身」が話題に...「…

  • 5

    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプ新政権ガイド

特集:トランプ新政権ガイド

2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?