日本に埋もれていた衝撃の傑作「アール・ブリュット」が海外で高評価されているワケ
本場では、どう楽しんでいるか
スイスと日本のアール・ブリュットのつながりを見てきたが、この芸術をどう鑑賞したらいいのだろうか。ペリーさんの話では、芸術は1つではなく、アール・ブリュットの作品にふれて芸術へのドアがたくさん存在しているということを知ればよいのだという。
ローザンヌの「アール・ブリュット・コレクション」には、老若男女、職業も様々な人たちが集う。普段は美術館には足を運ばない幼児たちさえやってくる。おもしろい、奇麗、ちょっと気持ち悪い、怖い、すごい、これなら自分にも作れるかもなど、どんな感情でもじっくりと味わってみよう。アーティストたちは、強い感情を込め自分のためにひたすら作り続けている。その感情と見る人の感情が溶け合えば、そこには、もう新しいドアが開かれているに違いない。
(*)アール・ブリュット・コレクション『日本のアール・ブリュット もう一つの眼差し』メディア向け資料から引用
[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」理事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com