毎年2000万本以上も廃棄されるドイツのクリスマスツリー問題
本当にエコ? 再利用するレンタル・ツリーが議論の的に
そもそもツリーを使い捨てにするのは環境に良くない、エコではないという考えから、生木のクリスマスツリーのレンタルを提案するスタートアップ企業が出現し、今年話題になった。
独ターゲスシュピーゲル紙は「モミの木を救え、クリスマスツリー貸します」と題した記事で、西部ドイツ、マインツにあるこの新興企業「ヴァイナハツバウムフロインデ(Weihnachtsbaumfreunde)」のサービスを紹介した。
鉢に植えたツリーをレンタルし、祝日が終わった時点で送り返すと、ツリーは再び土に植え替えられるというサービスで、ドイツ全国区に配送可能、レンタル料は1本48〜63ユーロ。返却されたクリスマスツリーは半数が、植え替えの後、生き延びることができるという。
これに批判や疑問が呈された。記事では、「室温25度の中、暖房器具のそばに置かれたり、水をきちんとやっていない状態で数日経った後で、ツリーになった木を植え替えても生き延びられる可能性は少ない」という意見を紹介している。
独ツァイト紙もこの再利用できるレンタル・ツリーを「本当にエコなの?」と批判している。
この記事ではドイツ連邦クリスマスツリー農家団体(BVWE)の会長が、「深くまっすぐに伸びた根をプラスチックの植木鉢に詰め込むこと自体が、木を苦しめている。返却された後のツリーに生き延びて欲しかったら、レンタルした人が期間中しっかりと世話をするなど、事前に十分な話し合いが必要なはずだ」と語っている。
さらにヴァイナハツバウムフロインデ社のある西部ドイツのマインツからドイツ全国への車両輸送することによるCO2排出量という問題もエコではないと指摘された。同社はその点は今後電気車を使うなどの案も考えているというが、簡単には改善できないようだ。このサービス、需要は伸びているというが課題は多いようである。
今のところ、どうしても生木というなら、やはり自分の街の近くで栽培されているツリーを購入し、回収から再利用までを徹底させるのが、環境への配慮としては最善の策なのかもしれない。昨今はオーガニック農法で栽培された木を購入する人も増えているようだ。
面白い再利用法としては、動物園で象やラクダなどの動物の餌にするという試みもあり、毎年のように、クリスマスツリーをバリバリと食べる各地の象の姿が、年始の風物詩となっている。