「極右」官僚養成機関に志願する若者たち フランスで物議をかもす「学長」は美しすぎる28歳
若きリーダー、マリオン・マレシャルに憧れる生徒たち
L'ISSEPのホームページには、「ビジネスの知識と公務の革新的な提携」という文字が、学長からのメッセージに書かれている。
(L'ISSEPの外観と教室の様子)Nos locaux sont prêts à accueillir nos étudiants et participants !
— ISSEP (@ISSEP_Lyon) 2018年8月13日
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コースは2種類あり、2年制の修士プログラム(年間5500ユーロ)と、政治家や管理職などを養成するための10カ月の職業訓練プログラム(年間990ユーロ)に分かれている。
修士プログラムでは、地政学、経済学、歴史からプロトコールなどのマナーや文学まで幅広い内容を含んだカリキュラムが組まれている。
一方、10か月間の職業訓練コースでは「キャンペーンでの勝利の戦略の立て方」「TVでの成功するインタビューの受け方」など実践的な内容もさらに多く含まれているようだ。
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また、一般公開のトークイベントも定期的に開催し、「ポピュリズムの偉大さと悲惨さ」、「表現の自由」などのテーマについて講演する専門家の招へいも予定されている。すでに今年、修士に約75人の学生、35~40人が職業訓練コースに応募したと報道されている。
いったい、この学校には、どんな生徒が応募するのだろうか。
若くして政界でカリスマ性を発揮したマリオンへ憧れて同校へ入学を志す若者も、少なくないようだ。今年6月の同校のオープンキャンパスで取材をした「ヨーロッパ1」に、参加者の19歳のアニェスは「若くして議員として成功したマリオンのキャリアは素晴らしいわ! 私も現在の『政治』の概念とは違う、何か新しいビジョンを見つけたい。きっと、新しくて素晴らしいことができるはずよ」と期待を抱いて語った。
L'ISSEPが位置するリヨンでは、保守派のカトリック系グループやナショナリスト、極右の組織の勢力が強いと言われている。エマニュエル・マクロン大統領の支持率が低下するなか、l'ISSEPは、右派の若者や政治家たちが集まる場所になることが今後懸念される。
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[執筆者]
西川彩奈
フランス在住ジャーナリスト。1988年、大阪生まれ。2014年よりフランスを拠点に、欧州社会のレポートやインタビュー記事の執筆活動に携わる。過去には、アラブ首長国連邦とイタリアに在住した経験があり、中東、欧州の各地を旅して現地社会への知見を深めることが趣味。女性のキャリアなどについて、女性誌『コスモポリタン』などに寄稿。パリ政治学院の生徒が運営する難民支援グループに所属し、ヨーロッパの難民問題に関する取材プロジェクトなども行う。日仏プレス協会(Association de Presse France-Japon)のメンバー。
Ayana.nishikawa@gmail.com